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3月16日(土)せなで断ち切る道しるべ
全体合宿はこの先、高千穂・日向に向けて東南に折れる。しかし私は、このまま西に向かって九州横断、長崎に行くという夢があるため、今日で皆とはお別れ。別れ際、小さくなってゆく仲間を見送るのは感無量だった。そこから背を向けて、自らの道を走りだす。しばらくは下り坂、追い風に乗って。一人になると寂しいけれど、道の駅とかに自由に寄れるのはいいなと思う。
やがて熊本市内に入る。『九州横断道路』にこだわるとするなら、さらに三角(みすみ)という所まで走らねばなるまい。でもここからでも島原に渡るフェリーは開設されてるし、まあ、ここでゆっくりポタリングでもしよう。熊本城登ったり、熊本駅らへんをブラブラしたり。土産物屋では、熊本の名ナイフ『肥後守(ひごのかみ)』を入手。今後のキャンプに使えそう。
いよいよフェリーで、長崎県の島原に渡る。だんだん島原半島が近くなってきて、無数のビニールハウスが太陽光でキラキラ光っているのが美しい。新天地に向かっている気分だ。
島原城下町を少し観光して、今日は島原ユースホステル。一人でユースに泊ると、他の旅人たちと仲良く話し合えるのがいい。ここは九州なのに、なぜか北海道の話題で盛り上がっていた。
3月17日(日)男性は長崎に憧れない?
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でも、より心が良く広くなったのだろう。大切じゃないか。
3月18日(月)帰りは18きっぷ2枚
早朝に長崎ユースホステルを抜け出し、アサイチの特急かもめ2号に乗り込む。車窓からは念願の平成新山がうっすら見えていた。そして博多からは18きっぷ2枚の旅となる。茨城県の土浦まで、自分の鈍行乗り継ぎ最長記録になりそうだ。疲れている体にこれがまた疲れる。もう、しばらくサイクリングも18きっぷ旅行もしたくない!
3月19日(火)過ぎ去った時
夜行快速『ムーンライトながら』では、東京駅に着いたことに気付かないほど熟睡した。そして土浦駅で輪行を解き、無事つくばに帰宅。久々にお気に入りのNHK朝の連ドラ『ふたりっ子』を見たら、ドラマの中ではもう十数年も時が経過していたのでびっくり。とにかくこんなふうにして日常が帰ってきた。
こうして初めての九州サイクリングは終った。ただでさえ人数不足だった全体合宿を、途中で「裏切る」かたちになってしまったのは残念だった。しかしその後の個人ランもとても素晴しい旅になったので、決して後悔はしていない。
また、この春は全旅程にかけて体力的にハードなサイクリングだったことが、むしろこの旅の記憶を明瞭にしている。しかも「いい」思い出として。