むらよし旅日記・其の七

サイクリング部春合宿:本州四国横断編

1996年3月10日〜20日

『キャンピング班合宿』本州横断篠ヶ峰編

3月10日〜14日

 春合宿だ。しかし、すぐ先にせまった宿舎退去・引越しの手筈がまだ決まっていなくて、精神的に不安定な状態。あまり旅に出る気がしなかったが、合宿だからしょうがない。
 そんな気持ちで旅立ちの日を迎えた。コースは、キャンピング班合宿で京都府の日本海側から兵庫県の姫路へ抜け、サイクリング部全体合宿では香川県小豆島から高知県高知市に至る、本州四国横断ルートである。これは本州横断に失敗した去年の秋合宿のリターンマッチでもある。

3月10日(日)

 サイクリングは、つくばより遥か西から始まる。そのため我々キャンピング班合宿参加者は、青春18きっぷを手に“大垣夜行”に乗り込んだ。もうすぐダイヤ改正で“快速ムーンライトながら”にとって代わられる列車だが、今はまだ旧式のボックス席で、眠るには膝が不快である。それでも2時間ほど眠れたので上々かな。
 「旅の始めはいつも寝不足。」

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3月11日(月)

 列車を何回か乗り換えて、京都府の日本海側である舞鶴市に到着、自転車を組み立てる。西舞鶴駅前のラーメン屋で昼食をとってから、天橋立の奥、岩滝町に向けていざラン開始。始めは晴れていて気分爽快だったが、やがて心配していた雪が降りだして、気分ボロボロ、天橋立なんざ見る余裕なし。
 夕方には岩滝に着いたが、そこにあるはずのキャンプ場には何故か「キャンプ禁止」の標識が…。それを見た時は途方に暮れたが、気を取り直して、キャンプ出来そうな場所を探すべくみな方々に散った。しかし集まってみても朗報がない。そんな雪でズブ濡れの我々を見かねた『マウンテン』という喫茶店のオッチャンが、何と店の二階に泊めてくれることになった! ありがとうございます!! 去年の秋合宿でも似たようなことがあって、実はひそかに期待していたとはいえ超ラッキー。
 近くには『クアハウス岩滝』という温泉設備があり、豪華な造りのわりに利用料五百円と格安。これがいたれりつくせりで気分良すぎ、凍っていた足もホカホカになり体もサッパリサッパリ。バチあたるかもと思うほど幸せを満喫した。
 捨てる神あれば拾う神あり、でも救われすぎと感じた一日だった。

3月12日(火)

 「太平洋に流すための」日本海の海水を汲むセレモニーを行い、今日はまず実際に日本三景の一つ・天橋立を縦走する。左右に海が見えるのがけっこう「うれしい」走り。渡り切ったところにある神社にお参り、私にとってはこれが今年の初詣だった。
 雪が降ったり止んだりする中、海を離れ南へ向かう。普甲峠への登り坂には薄く雪が積もっており、ランドナーのタイヤではつるつる滑って苦労したが、無事峠を越えた。
 “もう一つのお伊勢さん”といわれる皇大神社をお参りし、福知山市到着。駅前で途中参加の2人を拾い、合宿参加人数は10となった。また、ここが地元であるというKi先輩(同サイクリング部員)にも会った。時間的にまだ先に行けるようなので、Ki先輩に近道を先導してもらいつつ穴裏峠を越えて、兵庫県氷上町側に至った。
 今日も「地図にはあるはずのキャンプ場が無い」という困ったことになったが、ちょっとした休憩公園にテントを張ることができた。ファーストラン班より参加のT先輩の案により“酒糟味噌鍋”という、豪華でおいしいメシが喰えたのはよかったのだが・・・。

3月13日(水)

 昨日から風邪で体調を崩していたK先輩が、ついにダウンし列車で帰ることとなってしまった。こういう形でメンバーが失われるのは残念であるが、我々は気を取り直して先に進まなければならない。
 今日は「崖崩れのため通行止め」と地図に書いてある篠ヶ峰(ささがみね)への山道を、敢えて越えようという計画である。登り坂は急でしかも雪が残っているのでオシで歩く。所々岩が崩れた痕があって、この程度の崖崩れなら余裕余裕と思いつつ登る。
 ところが、まるで橋が落ちたかのような大きな崖崩れ跡が現われてしまった。何とかここを越えられないかと作戦会議をしたが、どう考えても無理と判断。「これで勝ったと思うなよ!」と言い残し、引き返して別の道をゆくことにした。班合宿のメインイベントは敗北に終った。
 私はやや疲れがたまっていて、向かい風のなか先頭風よけ役に苦しんでいたが、N先輩がスッと先頭を代わってくれた。こういうちょっとした心優しさがうれしいものである。
 さて加西市に至ったが、なんと今日も「あるはずのキャンプ場が無い」という事態が生じた。その場所にある寺に交渉に行ったが、そこのババアは「今はもうキャンプ場やってないから」、あとはどう頼んでも「今は住職が出かけてるから」の一点張り。
 結局暗くなってしまった中、電装して先に進み、姫路市南山田キャンプ場を発見。ここでようやくテント設営できた。今日もT先輩の案により、合宿中としては珍しいチラシ寿司を作った。酒も交す。
 今日はいろいろアクシデントが続いたが、天気だけはいい一日だった。

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南山田キャンプ場の朝

3月14日(木)

 キャンプ場の朝は、爽やかなものである。記念撮影もした。
 この日はまず姫路城を見学。時間があるので天守閣にも登った。姫路の街並を見下ろすと、何だか偉くなったような気分。「俺も殿になりたいな…。」
 今日で帰るY先輩と別れ、姫路港のフェリーターミナルへ。ここで、同じく小豆島に渡る山楽班とファーストラン班の連中に会った。話によると山楽班はかなり無茶をやったらしい。やがてフェリー出航。福知山からここまで旅を共にしたM先輩が、ロケット花火で見送ってくれた。あとはのんびり船旅で小豆島へ。
 フェリーを降りて、ここからキャンピング班員は3人ほど増えて、ユースホステルまで走る。これにて班合宿は終了した。旅慣れしたせいか、サイクリング部入部間もない頃の新鮮味が感じられなかったのは、…仕方なしか。
 これよりサイクリング部全体合宿が始まる。宿はキャンプに比べ金がかかるのが難。メシだけでも自炊にしたいなあ、と思った。班合宿の、一食あたり三百円台はナイスだったな。


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