病院について Part2

O動物病院でのできごと
ここは、我が家から車で30分ほどのちょっと遠くにある、設備も整ったかなり大きな病院です。Y動物病院は設備がほとんど無く検査なども十分にできないことから少々不安を感じており、万が一の時のためにとイエローページでチェックしておいた病院です。1回目のFLUTD以降1年ほどお兄ちゃんは特に問題もなく過ごしていたのですが、ある時夜中に10数回も嘔吐をしてしまい、Y病院が休診日ということもあってこのO動物病院に行くことにしました。

地図を頼りに病院を目指し、着いてみてびっくり。受け付けはあるしカルテはあるし待合室もあるし、スタッフは総勢9人もいるし、看護士さんはいるし、みなさん白衣を着ているし (ちなみにY動物病院の先生方はいつもトレーナーにジーンズでした)、器具がずら〜っと並んでいるし、こんなにも違うものかと本当に驚きました。そして一番びっくりしたのが体重計を兼ねた診察台!!それまでY動物病院では体重を計ったことなどありませんでしたし、体重計があるにはありましたがそれも普通の人間用で先生が動物を抱っこして計っていましたから、乗せただけで体重が計れる診察台があったなんて超ビックリでした。

その日は血液検査などもしてもらい、他にこれといった問題はなかったので診断結果は急性胃腸炎ということで、胃薬 (ガスター10!) と抗生物質と胃腸に優しい療法食をもらい、懇切丁寧に薬の飲ませ方など教えてもらって帰ってきました。さすがに初診料から各種検査代、薬代、療法食代まで含めるとかなり高額な請求書が出ましたが、検査などそれなりの処置をすればお金がかかるのは当然のことですし、会計はすべてコンピュータ処理で一目瞭然かつそれぞれの項目も平均的なお値段だったので特に気になることはありませんでした。インフォームド コンセントもしっかりしていて、充分に説明もしてくれるし、質問にもいやな顔もせず答えてくれるので、第一印象はとても良かったです。その後2、3回の通院で胃腸炎の症状は良くなりました。

しかし、それから10日ほどして、不幸にもお兄ちゃんのFLUTDが再発してしまいました。結石予防の療法食をやめて胃腸炎の療法食に切り替えたのが悪かったのか、遠くの病院に通ったストレスからなのか原因はよくわかりませんが、また夜中に5分おきにトイレに行くようになってしまったのです。しかし前回の経験もあり、トイレをチェックすると少しずつですが尿が出ているようだったので、今回はそれほどあわてることもなく、翌朝一番で病院に行く事にしました。

次の朝、一番のりをめざして病院に行ったのですが、残念ながら病院には既に患者さんが何人か来ていました。しかし、前回のY動物病院では先に来ていた患者さんに順番をゆずってもらって先に診察してもらえたので、尿閉塞と言えば今回もそうしてもらえるのかと思っていました。そして受け付けでまず最初に毎回来院した目的を聞かれるので、「おしっこが出なくなっちゃったんです」 と言ったのですが、受け付けの方は 「はい、わかりました」 というだけで、特に何のアクションも起こさずに、いつものようにカルテを順番の最後に入れました。確かに、そこにいって10分や15分診察が遅くなったところで症状に変わりはないかもしれません。しかし、尿が出ないというのは一刻を争う症状でもあるはずです。事実、Y動物病院では先生があわてて診察してくれたのですから…。ちょっぴり残念な気持ちになりながら待っていると、やっと診察の順番がまわってきました。

しかし、ここでまた憂鬱な事態が生じてしまいました。この病院は先生が何人かいるので、手のあいた先生が受け付け済みカルテの棚に置かれた次の順番のカルテを取って診察室に呼んでくれるのですが、この時偶然あたったのが院長先生の奥さんだったのです。もちろんこの奥さん先生も獣医師の資格を持っているらしいのですが、何だか手つきがあやしい気がするのです。(これは単なる私の推測ですが、おそらく子育てでずっと現場から離れていたものの、子育てが一段落して手のあいた時間ができたので、代診先生のお休みの時などにお手伝い程度に復帰してきたのではないかと思うのです。)

確かにお兄ちゃんは動物病院に行くと先生にうなったり噛むまねをしたりしますが、別に触れないほど暴れるわけではありません。現にそれまでお兄ちゃんを診てくれた何人もの先生は問題無くお兄ちゃんを触診できていましたし、検査だってできたのです。しかし、その奥さん先生は 「この子は威嚇が激しくて、私には触れないわ〜。」 などと言って診察にならないのです。結局その時は何も診察しないまま 「午後に沈静かけてゆっくりと検査しますから」 と言ってそのまま預かりとなってしまいました。

夕方引取りに行くと、お兄ちゃんはまだ入院室のケージの中でフラフラしながらも一生懸命威嚇をしていました。この時も奥さん先生が 「私じゃ触れないから、ケージから出してちょうだい」 と言われ、私がケージからお兄ちゃんを出してあげました。お兄ちゃんを診察室に戻してから詳しい話を聞きました。尿検査とレントゲン検査の結果、結石はまだできていなかったのですが、ストルバイトの結晶が出ているということでした。そこで、尿を酸性にするメサジルというチューブに入った薬と、膀胱の炎症を抑える抗生物質、そしてまた結石を溶かす療法食が出ました。しかも、結晶を溶かすにはとにかく水分を摂取して洗い流す必要があるので、それから3日間は朝、夕の2回点滴に通って下さいと言われました。私はフルタイムで働いているので午前中の休みをもらわなければ朝は連れていけません。仕方なく上司に状況を説明し休みをもらいましたが、幸い会社の上司はみな私が猫キチガイであることを理解してくれており、すべてにおいて猫を最優先に考えることも知っていましたので、特に文句も言わずに休みをくれました。

そして1日2回の点滴に3日間通い、その後1週間は1日1回、更にその後は1週間に1回の点滴が1ヶ月くらい続き、その間抗生物質も飲み続けやっと長い治療が終了しました。点滴の日とゴールデンウィークの連休が重なった時は、休診でも特別に開けますから来て下さいと言われ、特に出かける用事もありませんでしたのでお兄ちゃんを連れて病院へ行きました。その日は若い女性の先生が担当で、「お休みなのに大変ですね」 と先生のほうから声をかけて下さいました。私も 「先生こそお休みがなくて大変ですね」 と言って、いつもとは全く異なるし〜んと静まりかえった病院でおしゃべりをしながら点滴が終わるのを待ちました。そして、いざ会計となって請求書を見てこれまたびっくり、この日は通常の料金に加えて休日診察料がかかり5分の点滴 (しかも中身はただの補液) になんと7000円もかかったのです(+_+)。

確かにこちらの病院はこれでもかというくらいの手厚い治療をしてくれるという点では充分すぎるほどなのですが、Y先生の時には点滴など一切なかったことを考えると、休診の日にわざわざ開けてもらってまで点滴する必要があったのか…ちょっと疑問に思いました。今回同じ病気で2ヶ所の病院にお世話になったわけですが、それまでの経験と感を頼りに必要最低限な治療で治すか、できる限りのあらゆる検査技術、医療技術を用いて集中的に治すか…最終的に完治はしたので結果的にはどちらでもOKなのですが、飼い主、患畜それぞれにかかる金銭的、身体的負担を考えた時、本当はどっちが良いのだろうかと私はちょっと悩んでしまいました。

大問題発生!
その後はお兄ちゃんの体調も良く、結石予防の療法食を買いに行く以外は病院にもご無沙汰するようになっていましたが、1999年9月のある日、お兄ちゃんの胸に1cm四方の大きな傷があるのを発見しました。傷と言っても切り傷ではなく、かさぶたがむけたような皮膚表面がはがれたような傷でした。そこでまたお兄ちゃんを連れてO動物病院に行きました。この日は、初めて見る新しい代診先生がお兄ちゃんの担当でした。原因を調べる必要があるとのことで、細菌培養のサンプルと生検用サンプルを採取して、あとは飲み薬をもらって帰りました。検査結果は少し時間がかかるので出たら電話で教えてくれるとのことでした。

そして、1週間ほどした夜の11時頃、この先生から電話がありました。残念ながら悪い結果が出たので詳しくお話したい。それから、全身の詳しい検査が必要なので近々お兄ちゃんを連れて来て下さいと言われました。私は激しいショックを受けてしまいました。悪い結果と言えば、それはもうガンの宣告しかありません。どんどん考えが悪いほうへと進んでしまいます。もう長く生きられないのかもしれない…そう思うといてもたってもいられませんでした。

翌日病院へ行き、結果を聞きました。この時、普段はあまり出てこない院長が珍しく出てきて自ら説明してくれました。診断はやはり肥満細胞腫という悪性のガンで、生検のサンプルをアメリカの専門家に送って出た診断だから信頼できると言って回答書のコピーをもらいました。回答書には外科手術による広範な切除が望まれるともありました。

私はあまりのショックに言葉を失ってしまい、ただ院長の説明にうなずくのが精一杯でした。院長は手術をしたくない場合の代替治療として、放射線療法があること、でもこれを受けるには東京まで行って1週間なり泊まって毎日治療に通わなければならないこと、それに伴って莫大な治療費がかかることなどを説明した上で、やはり外科手術が一番負担が少なくて良い方法ではないかと言いました。しかしその結論は、全身の詳しい検査をして、ガンが他に転移していないか、内臓は大丈夫かなどが判明してからということで、今度は詳しい検査をすることになりました。

1週間後に予約をして、半日預けての検査をすることになりました。それまでに、お兄ちゃんの足の付け根にも同じような腫瘍ができているのを発見したので、その部分も一緒に検査してもらうようお願いしてお兄ちゃんを預けました。夕方、お兄ちゃんを引き取りに行き、検査の結果を聞きました。血液検査やレントゲン検査の結果は特に問題なく、他の部分に転移もしていないようだということで一安心でした。しかし、足の付け根にある腫瘍は場所がわからなかったのでまだ検査していないということで、私が場所を教えてそれから検査が始まりました。どうするのかと見ていると、耳かきを大きくしたような金属の道具でいきなりその腫瘍をガリガリと削り始めるではありませんか!!(いわゆる、スクレーピングという検査らしいです。) お兄ちゃんはあまりの痛さに悲鳴をあげていましたが、他の先生や看護士さん達に押さえつけられていて動けません。私もあまりの痛々しさに早く終わらないかとそればかり考えていました。腫瘍が崩れてかなり大きな傷になったところで、その傷口にガラスのプレートを押し付け検査用のサンプルを採取し、傷口にはちょこっと塗り薬を塗ってやっと検査は終わりました。検査の結果が出るには1週間ほどかかると言うので、その日はそのまま帰宅しました。

そして10日ほどたったまた深夜の11時ころ、例の代診先生から電話がかかってきました。前回スクレーピングが不充分だったようでちゃんとしたサンプルが採取できなかったので、もう一度検査したいという話でした。私はまたあのかわいそうな痛々しい検査をお兄ちゃんに受けさせなければならないのかと思うとかなり憂鬱でしたが、実は例の検査以降腫瘍がどこかにいってしまっていたのも事実だったので、とりあえずお兄ちゃんを病院に連れていってどうするのか相談することにしました。

2、3日して病院へ行くと代診先生は検査をすべく他の若い先生達と待ち構えていましたが、私が腫瘍はなくなってしまったことを告げるとお兄ちゃんの体を触診して腫瘍の無いことを確認してから院長を呼んで来てどうするのか相談していました。しかし、無いものは検査のしようがありません。そして、その頃までに最初発見した胸にできていた傷もきれいさっぱり治っており、その後腫瘍が再発してくる形跡もなかったので、先生たちは個々に腫瘍のあった部分を触っては、消滅してしまった腫瘍に首をかしげながら残念そうな顔をしていました。(おそらく、珍しい症例ですし手術の練習にもなるとでも思っていたのでしょう。) おかげで予定していた検査もしなくて済み、半年後までとりあえず様子を見るということで、その日は何もせずに帰宅できました。

そして半年後、再度血液検査とレントゲン検査を受けに行きました。お兄ちゃんを預けて待合室で待っていると、検査が終わったと連絡が来たので診察室に入って良く見ないままお兄ちゃんをキャリーに入れ、少しでも静かな場所で落ち着かせてあげようと自動車の中へ置いてきて話を聞きました。検査の結果は特に問題無しということで一応は完治ということになりました。そこで、ウキウキしながら自動車に乗り、お兄ちゃんをキャリーから出して帰宅の途についたのですが、10分ほど走ったところで何気なく自動車の中をウロウロするお兄ちゃんのお腹を見ると毛が広い範囲でごっそりと刈られていることに気づきました。確かに、胸の腫瘍があった場所の毛を剃って確認するとは言っていましたが、どうみても刈られている部分はお腹で腫瘍があった部分とは全く違います。そこで近くの広い場所に車を停めてよ〜く確認しましたが、やはり毛の刈られていた場所はまるで見当違いの部分でした。

自分でもひんぱんに腫瘍があった場所を触って確認してはいたので、おそらく腫瘍がないだろうことはわかっていましたが、やはり毛を刈って確認してもらわなければ安心はできません。そこでとりあえず病院に電話をかけることにしました。しかし、時間は既に午後の7時をまわっており診察時間が終了していたため電話は留守電になっていて繋がりませんでした。そこで、仕方なくUターンしてもと来た道を病院へと引き返しました。病院はブラインドが閉められていましたが電気がついていたのでインターホンで事情を話すと一応主治医である代診先生が出てきました。そして、診察室へ私を招き入れバリカンを持ってきてお兄ちゃんの毛を刈ろうとしたその時です、奥の別の診察室から院長先生の呼ぶ声が聞こえました。するとその代診先生はひとこと 「すみません」 と言っただけでお兄ちゃんをキャリーに入れるとそのまま私を診察室から出しました。そして、「明日もう一度来て下さい」 とだけ言うと出口の戸を開けて私を追い出してしまいました。どうやら交通事故にあった犬の急患が運び込まれてきたらしいのですがそんな説明も、場所を間違えて検査したことへの謝罪の言葉も一切無く、途中まで行ったところをわざわざ引き返してきたのにまた次の日来いというだけで追い返された私はかなり頭に来たと同時に、その先生と院長の独裁政権のようなその病院にかなりの失望感を感じました。

病院について Part3 に続く

Last updated: 2003.2.23