七奈ちゃん Part2

仲良し父子

次の日は日曜日でしたが朝から雨が降っていました。子猫はどこへいっただろう?そう思って裏の畑や物置のあたりを探しましたが見つかりませんでした。仕方なく家の中に入りましたが子猫のことが気になります。そこでしばらくしてまた雨のなか裏へ行ってみました。そしてどこか雨のかからないところにいるだろうと思い、もしかしてとおかあちゃんの小屋の床下をのぞいてみると、案の定子猫が雨宿りをしていました。警戒心の強い子猫ですからどうせ呼んでも来ない事はわかっていましたのでそのままにして、とりあえずお腹が空いているだろうからとマグロ缶に流動食を混ぜたご飯を食器に入れて持ってきました。(小さかったのでまだドライは食べられないと思ったのです。) そして雨のかからない場所に置いてその場を離れ、1時間ほどして見に行ってみましたがご飯は手付かずで残っていました。

私が具合でも悪いのかと心配になって小屋の床下をのぞくと、子猫は私が何度もやってくるので身の危険を感じたのか、突然床下から走り出して今度は10mほど離れた物置小屋のガラクタの中に紛れ込んでしまいました。仕方なく食器を物置の近くに移動し、しばらくそのまま放っておくことにしました。また1時間ほどして様子を見に行こうと外へ出て車庫にある亀っ子ハウスの横を通り過ぎようとした時です。亀ちゃんが亀っ子ハウスの上に置かれたお気に入りの発泡スチロールの箱に入って眠っているのを発見しました。そんなところにいなくても、ハウスに入ればいいのにと思いつつ通り過ぎようとすると、小屋の中で何かが動いています。??と思って小屋の中をじっと見ると、なんと例の子猫がハウスの中で長〜くのびをしたところでした。どうやら亀ちゃんが子猫にハウスを貸してくれたらしく、子猫は幸せそうな顔をしながら、ハウスの中でゴロゴロしていました。私は亀ちゃんの優しさに思い切り感動しながら、亀ちゃんにあとはまかせておこうと、また家の中に入りました。

午後になって雨もあがり、次第に天気が回復してきました。すると子猫は亀ちゃんと二人で追いかけっこを始めました。まず一方が走って行ってもう一方が追いつくと、今度は追いついた方が走って逃げ、もう片方が追いかけるといった具合です。時々亀ちゃんが子猫に本気で飛びかかっていくように見えるのでハラハラすることもありましたが、決して亀ちゃんが子猫に危害を加えるようなことはありませんでした。そのうち遊び疲れたのか二人は草むらの上でお昼寝を始めました。亀ちゃんは子猫からほんの少しだけ離れた場所で添い寝をしているようでした。亀ちゃんが子猫のことを本当にかいがいしく面倒を見てくれるので、外で一人ぼっちの亀ちゃんにかわいい妹ができてこのまま二人が仲良く暮らしていけるのなら子猫を保護する必要は無いのかもしれない、むしろ亀ちゃんからかわいい子猫を奪ってしまったら可哀想なのではないか…そんなことを考えました。でも子猫は女の子ですから亀ちゃんが去勢してあるとは言え、放置しておけばすぐに時期が来て発情、妊娠してしまうでしょう。それだけは避けなければなりません。二人の仲の良い姿を見ながら、またまた激しく悩む私でした。

子猫一丁!

翌朝、両親は早朝から出かけていて家には私しかいませんでした。その日は月曜日だったので私は出勤しなければなりません。困ったな〜と思いながら、一応外へ出て子猫の様子を見てみることにしました。そして裏の畑や亀ちゃんの小屋のあたりを探してみましたが、子猫の姿は見当たりませんでした。どこかに行ってしまったのかしら?うれしいような、悲しいような、悪い事をしたような…複雑な心境で玄関まで戻って来て、何気なく玄関わきの車庫の屋根を見上げた時です。なんと子猫が屋根のふちに両手をかけて上からかわいい顔をのぞかせていました。私はまたうれしいような、悲しいような、更に複雑な心境に陥りながら、かわいらしい子猫の顔を見つめたまましばしその場で固まってしまいました。

そのうちどこからか亀ちゃんがやってきました。子猫が車庫の屋根に登ったのは明らかに亀ちゃんの影響です。どこまでも亀ちゃんの後をついて歩く子猫ですから、きっと亀ちゃんが車庫の脇に立っている木から屋根に登ったのを見て、そのままついていったのでしょう。しかしその時亀ちゃんは私の足元にいました。「ということは、子猫も下りてくるのかな?」 そう考えるか考えないうちに、子猫が木をつたって下りはじめました。順に低い枝へと飛び移ってきますが、途中からは枝がほとんどなくなってしまいます。どうするのかしらと見ていると、両手を一杯に広げて幹にしがみつきそのままズルズルとお尻からさがってきました。私はただぼーっと 「まだ2ヶ月足らずの小さな子猫なのに、いっぱしの事をするのね〜」 などと言って関心しながらその様子を見ていました。

しかし木から下りると子猫はダッシュで遠くへ走り去ってしまいました。その時になってふと、子猫が木から下りてくるところをねらえば、子猫を簡単に捕まえられることに気がつきました。最後に幹にしがみつきながら下りてくる時は子猫は完全に無防備です。しかし、私が思うように子猫がまた屋根に登るとは思えません。「やっぱり無理だよね」 と思いながら 「ここで亀ちゃんが木に登ってくれたら子猫も登るんだろうな〜」 などとつぶやいていると、突然亀ちゃんが木に登り始めました。我が家に現れた最初の頃は亀ちゃんもよく木登りをして屋根の上からみゃーみゃーと鳴いていましたがその頃はほとんど木に登ることもありませんでした。それがまるで私の気持ちを読み取ったかのように大きな体で軽々と木に登っていくのです。私はびっくりしてしまいました。そして亀ちゃんは屋根にあがると、屋根の上からまるで子猫を呼ぶかのように大声で鳴きはじめました。するとこれまたまるで最初からシナリオが出来ていたかのように子猫が亀ちゃんの後をついて屋根に上って行きました。

子猫が屋根に上った事を確かめると、すぐに亀ちゃんは枝をしならせながら器用に屋根からおりてきました。そして私の足元で子猫の様子を一緒に眺めています。何か子猫を入れるものがないかとあたりを見回すと、なんとまるであつらえたのかのように洗濯ネットと猫用キャリーがすぐ目の前の外置き冷蔵庫の上に置いてありました。最初に子猫を見た土曜日にもしかしたら捕まえるかもしれないからと持ち出してきて放置しておいたものでした。そうこうしているうちに子猫がまた木をつたって屋根から下り始めました。私は子猫を刺激して途中で落ちてしまわないように少し離れた場所から洗濯ネットを手に子猫の様子を見ていましたが、いよいよ最後の両手で幹につかまって下りてくる段階に入ったのでさっと近づき洗濯ネットの口をパカっとあけて、子猫の下で待ち構えました。するとあっけなく子猫はネットの中におさまり、手早くネットのファスナーをしめて子猫はあっさり御用となったのでした。

七奈ちゃん3 に続く

Last Update: 2003.2.1