自転車旅行3

小金井人情編


 自転車の前ギアが壊れて途方に暮れていたが、なんとかタダで実家に帰ら無くてはいけない。
ヒッチハイクという手もあるが、私は男なので拾ってくれる可能性は少ないし・・・悩んでいてもしょうがないので すこし散歩がてら休憩しようと思い、自転車を止め街を歩いた。
やはり歩くしかないのかと考えはじめていたところ、丁度自転車屋を見つけた。 金が無いので修理してもらうのは無理かと思ったが、とりあえず聞くだけ聞いてみようと思い、自転車を持ち込んだ。

私     「すいませ〜ん」
自転車屋  「はい、いらっしゃい、どうしました?」
私     「いや、ギアが壊れて・・・」
自転車屋  「どれどれ、ああこれはいけませんね。解りました、直しておきましょう」
私     「あ、いや、それが、かくかくしかじかこういう訳で、長野の実家に帰らないと行けないのに金が無いんです。」
自転車屋  「え?これから長野に?自転車で?ホントに?」
私     (嘘ついてどうするんだ、と思いつつ)「とりあえず今、1000円しか無いんです。
        もし、これ以上お金がかかる様なら、歩いて帰りますので、自転車預かってもらえますか?」
自転車屋  「・・・・・!ええっ!歩くの?いやあ、それは・・・」

(しばらく絶句する自転車屋のおっさん。)

自転車屋  「じゃあ、しょうがないな。タダでいいよ。どうせ暇だし。ただ、今回だけだよ。」
私     「えっ、いいんですか?それは・・・ありがとうございます!

いいひとだ!

修理の途中、いろいろ自転車屋のおっさん(話の中から私と年齢がさほど違わない事が分かったが)は 色々話してくれた。彼も、以前自転車の旅をしていたのだそうだ。実際どこへ行ったかは言わなかったが 話の節々から旅の経験が豊富であることが伺われた。そうした経緯から私を助けようと思ったのだろうか。
修理が終わり、コーヒーまでおごってもらった。

人の親切が身にしみるぜえっ!!
のどが渇いて死にそうだったのだ。
しみじみ思った。
世の中捨てたもんじゃねえな。

親切な自転車屋さんのおかげで、小金井市を抜け、府中市に無事入る事が出来た。前ギアを外してしまったので (新しい部品を付けるとなると1週間かかるといわれた。さすがに一週間自転車屋さんの軒先に寝起きする訳には行かないスピードが出なくなってしまったが、贅沢は言えない。
車の数がぐっと増えて来た。
歩行者も多い。
排気ガスが濃くなる。

甲州街道はもうすぐだ。



甲州街道突入編がよみたい!
つかれたのでまたの機会にしよう