八ケ岳四季模様


冬の生活

  今住んでいるところは、八ケ岳の主峰、赤岳の西、20Kmぐらいであろうか。標高700
から800mくらい。  引っ越してきて、冬を10回ほどやり過ごした。
 このあたりも、最近やたらと田んぼをつぶして家が建ちはじめ、始めの頃の風景とだいぶ
様変わりしてきた。
 神奈川にいた頃に持っていた、住んでみたいところのイメージは、静かな森の中で、まわりに建物があまりなく、敷地内、もしくは近くにせせらぎが流れていて、季節ごとの匂いが
感じられる、そんな場所だった。この全てを満たすのは無理だとしても、そのいくつかは、ここにあった。だが、そのいくつかも、時が経つにつれて、だんだん感じられなくなってきて、とても残念に思う。道路が開け、大型店がいくつも近くにでき、生活する上では、何ら都会と変わらなくなってきた。
 地元の人にとっては、それにあわせて、家が建ち、新しい人が入ってきて、活性化され、さまざまな情報が都会と変わりなく得られるようになり、それはそれでいいのかもしれないし
また、それを望んでいるのかもしれない。
 しかし、人ごみや情報の氾濫する世界から来た者にとっては、あまり歓迎したくない事である。それらから、逃れてきたのであるから。
 もし私が登山家であったら、はじめから、もっと山側に住んでいたであろう。

何でも凍る世界
 こちらにきて初めての冬。これまで乗っていた車が、この夏にちょうど車検を迎えるのと、走行距離も70000kmをこえ、2駆であったので思いきって、4WDに買い換えました。
ホンダのプレリュードからスズキのエスクードに。パートタイムの4WDでサイズもこの田舎にはジャストサイズ。とても、ナイスな車です。
そして、12月の上旬、スタッドレスタイヤに履き替えました。車には、はじめから、一応、
少しぐらいの雪でも大丈夫ですよ。というオールシーズンタイヤなるものが装着されていましたが、この土地は凍るから、スタッドレスのほうがいいよという地元の人のアドバイスを素直に受け入れました。
 1月中旬くらいまでは、朝の外気温はマイナス5〜6度といったところでしたが、下旬から
2月にはいると、これがマイナス10度を超える日もしばしば。
 とても冷え込んだ、とある日、台所から急にシューっという音がしたので、なんだろうと思って行ってみると、湯沸し器の上から水が噴き出してました。
 昨夜、水抜きを忘れたのです。湯沸し器のカバーをはずしてみると管が破れてました。
まだそれほど使ってないのに。これがないと、大変不便なので早速近くのホームセンターに
新しいのを買いに行きました。予定外のいたい出費です。そこには、私以外にも湯沸し器を
選んでいる人が。たぶん*********やってしまったのでしょう。
 台所の洗剤が、シャーベット状に凍っています。風呂場を覗いてみると、そこでは、シャンプー、リンス、みんな凍ってます。オー、アンビリーバブル!未体験ゾーンに足を踏み入れてしまいました。早く脱出したいと思いながらも、あと他に何が凍っているんだろうと、変な好奇心が沸いてきました。
 昨夜使った台所のふきん、凍ってますねー。流し台にはりついたまま凍りついて取れません。ごま油にオリーブオイル白くにごって、ドロドロ状態。
 缶入りのジュース。缶を振ってみると、ジャリジャリ音がします。
 水道は、不凍栓を締めておいたので大丈夫かと思ったら、蛇口がまわりません。ポットにあったお湯をかけたらまわって、水もちゃんと出てくれたので、ほっとしました。
 冷蔵庫に入らなかったので出しておいたリンゴ。何か変です。表面にしわが少しより、
少し凍っています。これからは、凍ってほしくないものは、冷蔵庫に入れておかないと。
この日の天気予報で、この冬一番の冷え込みで、マイナス13度と言ってました。
しかしそれは、観測ポイントでの話で我が家の回りは、もっと冷え込んだのに違いありません。明日も同じように冷え込むらしい。こんな日の夜は、星空がとてもきれいに見えます。
星の観測や撮影を専門にしている人にとっては、最高の夜になりますね。
2002年12月

この年の冬は、暖冬の予報に反して厳冬のスタートとなった。           
例年よりも1ヶ月も早く大雪が降り、早くも雪かきで身体中が痛い。春先の雪みたいに
湿って重く、大変であった。                                 
 
雪かき道具これらが雪かきに使う道具です。    
左から長靴(底にスパイクピンが打って
あり滑りにくくなってます)。       
その隣が竹箒(比較的軽く、量が少ない
時にはこれが一番はやくてよい)     
ポリスコップ(ポリカーボネイト製で軽く
強い)とても金属製のスコップは使ってら
れません。                  
雪わりピック(踏み固められて氷状にな
ったのをこれで、割ります)        
ママさんダンプ(スコップでかききれない
のを、これで押していきます。)

以上の道具を駆使して、雪かきをするわけですが重労働です。大雪の時は、かいた雪
の行き場所も考えなくてはなりません。はっきり言って北信濃のような雪国ではないこ
の地域でのドカ雪は、計算外でした。                             
 2003年に入り、寒さはさらにひどくなり、朝の気温がマイナス二桁が10日近く続き
マイナス16度を計測する時もありました。これだけ続くと、近くの諏訪湖が全面結氷し
割れた氷が押し合いせり上がり諏訪湖を横断する道が出来る御神渡りという現象が
見られるようになるのですが、とうとう、確認されました。これだけ、寒ければね。   
 
これが、諏訪湖を東西、南北に
横切ります。           
これは、神が降り立って歩いた
道筋だという説があります。  
確かにその方向の両方に大きな
神社があることはありますが、、。










春の予感
 一年を通じて一番寒い2月が終わり、3月にはいると、朝の氷点下の数字も一桁になり、
家の周りの白いところが少なくなり、黒い土が顔を出してくると、やっと春がそこまでという感じになってくる。しかし、そこまで***なのだ。
 3月には行って、天気予報で雪ではなく雨と言う言葉が聞かれるようになっても、1,2回は雪がふるし、ここで気がゆるむと、思わぬ風邪をひいたりすることがあるので、気をつけなければならない。
 このつらい寒い時季と入れ替わり、待ち遠しい春がやってくるのであるが、あまり来てほしくない人も、多くおられるみたいだ。風邪でもないのに、鼻はグズグズ、目はショボショボ。
そう、花粉症の人にとっては、これまた、つらい時季なのである。幸い、私は、その症状はないが、今まで何でもなかった人でも、ある時、突然なるらしいので、厄介である。
 気をつけたいが、いったいどうやって気をつければいいのやら。

気温のあがる日中になると、それまで凍って隆起していた地面全体が解けて、足で踏むと
グチャグチャになる。ここに、雨でも降れば、事態はさらに悪くなる。そんなときは、家の中で紅茶でも飲みながら、本でも読んでいたほうがいい。あるいは、カメラ片手にそこまで来ている春を見つけに行くのも、またよし。

 郵便屋さんが来た。聞くところによると、ポストさえ作っておけば、どんなところ(?)でも配達してくれるとか。ほんとかなあ?もしそうだったとしたら、すごい事ですね。
民間に郵便事業を取られまいと、必死なのかもしれない。
 郵便物の中に、エアメールがあった。差出人を見ると、ニュージーランドに滞在したときに、お世話になったカメラマンのモリソンさんからだった。モリソンさんとは、それ以来クリスマスカードとか送ったりしているので、その返事かもしれない。早速開けて読んでみる。
いつもの事ながら、なかなかの達筆で判読できない単語がいくつかあるが、前後の内容、文脈から推測しながら読んでみる。タイピングして送ってくれるとありがたいのだが。
 昨年、クリスマスカードといっしょに送った、私の撮影した写真のポストカードについてのコメントがあった。それは、とてもきれいで、素晴らしい写真だ。是非、広く公に発表したほうがいい。いや、そうすべきだ。というような事が書いてある。外人は、ストレートに誉めてくれるので気分がいい。たとえそれが、お世辞や社交辞令であっても。まあ、けなす時もストレートだが。
 モリソンさんの自宅の庭で撮った家族の写真があった。ベンチに座りごく自然体で写っていて、日本のかしこまって、笑み一つない、暗い写真とはぜんぜん違う。
 どうして外人さんは、こう絵になるのだろう。モリソンさん自身がセッティングしてセルフタイマーで撮影したのだろうけど、撮るほうにも、また撮られるほうにもセンスがある。
こういう感性を持ち合わせているのがうらやましい。
 娘さんと、二人の息子さんもすっかり大きくなって、それぞれにきれいで、そしてかっこいい。ニュージーランドとは季節が逆だから、この寒い季節には、むこうに行けばいいんだ。と、
思ってはみたものの。=====いいなあ、New Zealand=====

 春はにぎやか
 
夜が明けるのが早くなるにつれて、周りもにぎやかになってきます。雪が解け、白から黒になり、やがて緑に変わり、そしてそれに黄色や赤が加わり、小鳥たちのさえずりの味付けも
少々。そして、心地よい風のささやき。爽やかな風が、あちこちからいろいろな草花の匂いを運んできてくれます。
 まだ、所々に残っている雪の下には、ふきのとうが、顔を出しているはず。あの、ちょっと
苦味のある天ぷらや、あったかいご飯にのせて食べると美味しいフキ味噌にも、もうすぐ出会えるのだ。
 冬の間閉鎖されている、霧が峰近くのビーナスラインもそろそろ除雪が始まり、4月には開通するだろう。
 神秘的な白駒池に通じる麦草峠もやがて、通れるようになるだろう。
この近くには、稲子湯というハイカーやツーリングライダーにも人気の温泉があるのだ。
富士見町側から八ケ岳の右にある編笠山をみると、地元の人が、のぼり金魚、
くだり金魚とよんでいる雪形が現れると、そろそろ田んぼの準備だ。       
暖冬で雪の少ない季節には、これが早くお目見えする事になる。         
のぼり金魚(鯉)、くだり金魚(鯉)
 4月に入り、一週間ほど過ぎると、やっと、春が近くに来ているのだなあと感じる。
それでもまだ、朝は、氷点下に下がる事もあり寒い。東京では、桜が満開だというのに。
朝と日中との気温差があるため、体調を崩しやすいのも、この季節だ。
 隣の山梨では、桃の花が咲き、白と、ピンクのコントラストがとても美しい。
3月下旬に白いスモモ(プラムって言えばわかるかな)の花が咲き、そのあとを追って
ピンクの花が咲き始めます。                                
 車に、撮影機材を積み込み、夜が白白と明け始める頃出かける。
我が家から、車で一時間ほどの、新府というところに行った。このあたりは、一宮あたりと
同様、桃の花がきれいなところで知られ、JR中央東線の車窓からも眺める事ができる。
空気が澄んで、比較的光線の柔らかな午前中のこの時間帯が、撮影には適している。
 休日の日中ともなれば写真を撮りに来る人や、カンバス片手に絵を描きに来る人がいたりで、人物の写り込みを、意図していない撮影の時は、クローズアップ的な撮影に切り替える
こともあります。光線が強い場合には、フォギーなどの、ソフト効果のあるフィルターや偏光
フィルターのお世話になる事もあります。
 パソコンで画像処理ソフトを使い、あとからいろいろ細工できるではないか。といわれる諸氏もおられると思いますが、フォトエージェンシーへのストックを目的として考えた場合に、
オリジナルのポジ(原版)で残しておきたいのです。
もも Canon EOS100 28mm RVP


リスと猫たち

ここのところ、我が家の庭の決まった木に、決まった時間、うぐいすが来て盛んに鳴いてます。でも、いつも同じところでつっかえて、うまく鳴けてません。
 最初のホーホケキョは合格ですが、つぎのホーホキョは、のところで、音が高いほうに外れるのです。そして、進歩のあとがみられないまま、姿を見せなくなりました。
 ある朝、屋根の上で、ドスン、ガサガサという大きな音がしたので行ってみると、そこには
屋根から隣の木に飛び移って難を逃れたリスと、それを捕まえ損ねた一匹のネコの姿がありました。
 リスは、車庫の裏山が松林になっていて、そこに住んでいて、車庫の近くに胡桃の木があるのでよくおりてきて、屋根で遊んでいるようです。
 ネコのほうは、我が家周辺をなわばりにしている、全体が薄茶色で口の周りと、足の先が白く、まるで、マスクをして白いソックスをはいているようなネコで、コチャトといいます。
私が名づけました。実は、この子の母親がそれまで、我が家をテリトリーにして、その名前がチャトランといい、これも私が、つけたのですがチャトランの子供だからコチャトです。
チャトランは、ムツゴロウさんの映画からパクリました。チャトランは野良猫のくせに、とても人懐っこく、よく我が家の郵便受けの横や、下駄箱の上で昼間、寝てました。
 このチャトランが、前にコチャトともう一匹、白と黒の尻尾の短い猫を連れて歩いていたのを見たことがあるので、親子だとわかりました。ちなみに、もう一匹の尻尾の短いほうは
シッポナと名づけました。
 チャトランです
 
 チャトランがある日突然、姿を見せなくなって、少ししてこのコチャトが、以前自分のママ
のなわばりであった、我が家の周りをテリトリーとして受け継いでいるようです。
 コチャトは、ひとなつっこかったチャトランとは大違いで、ぜんぜん、愛想がよくなく、私は
まだ、ニャーのひとことも、耳にしてません。オスなのかメスなのかもわかりません。
 チャトランで面白い話があります。いつものように、郵便受けの横でチャトランは寝てました。そこへ、郵便やさんが、配達にきました。そして、郵便物を郵便受けに入れようとしたら
ひとなつっこいチャトランはニャーニャーいいながら、郵便やさんといっしょに郵便受けの中に手を入れました。苦笑いの郵便やさんでした。その一部始終を、私は、家の中から見てました。いったい、何を思ったんでしょうかねえ、このネコは。
 まさか、自分宛に手紙がきたのかと思ったんじゃないでしょうねえ。いや、まてよ、もしかしていつも郵便受けのところで寝ているのは、自分宛の手紙を待っているのでしょうか?
まさかあ。
 チャトランは、食べ物をゲットするのも上手なようです。もぐら、すずめ、ねずみなどとって食べてます。ただ困るのは、ゲットした獲物をすぐ食べずにくわえて、わざわざ見せに来るのです。そして、私のみてる前で、おもむろに食べ始めるのです。これには閉口します。
あまり、気持ちのいいものでは、ありませんので。
 あと、健康に注意しているのか、野菜もとってるようです。前に玄関先にきゅうりが、数本
転がっていた事があり、最初は、何でこんなところにきゅうりが?と、わけがわからなかったのですが、チャトランの仕業という事がわかりました。きゅうりをよく見てみると、歯型がくっきりとついてます。そして、ある日、グニャーグニャーと、ちょっと変な鳴き方をしているチャトランが、玄関のところにいました。何かをくわえて。そう、きゅうりをくわえて口がふさがっているのでニャーがグニャーになっていたのです。変なネコ!!!!!
 このあたり、野良猫、多いです。で、それぞれ、特徴があるので、名前をつけちゃいました。顔の大きいちょっとがっしりした茶色のネコは、石松。ガッツ石松に似てたので。(ガッツ
さんごめんなさい。)いつも毛がぼさぼさのネコは、ボワボワ。いろんな色の混ざったネコ
は、ピカソ。白と黒の顔のバットマン。まだ他にも名前をつけてないのが2、3匹。