Rau Collection & Orsay Art Exhibition

                                                 (10/28 ’1999)

小田急美術館・安田火災・西洋美術館と強固突破してきた。

小田急パリの画家たち展では、プッチーニのラ・ボエームで有名になった、ミミのモデルとされる女性の家や、実存主義の発祥地モンマルトルのカフェエ、ラ・フーケツなどのようす、売れっ子モデル,キキの実像など、写真もいろいろと見られた。
作品としてはモディリアニ・ユトリロ・キスリングに惹かれたが、列車の疲れから少し集中力を欠いた。

今日はRauコレクションとオルセーの感想。


















【RAUコレクション展】


ことにRauのほうは大変質の高い充実した内容の展示のように思う。(今回来日の展示物で)
できるだけ個々の作品の画像とともに振り返りたいが、RAUコレクションの場合、来日・展示されていたのと同じの画像は、個人蔵ということもあってか、同画像がnet上に あいにく殆ど無かった。ゆえに感想の下に 参考資料として、その画家の 似通った画風のもの、あるいは同年代の作品をupしておくことにした。


☆感じたことの箇条書き

〈イタリア画派〉
・アンジェリコ「聖ミカエル1424-25:テンペラ画」net検索上画像なし
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/angelico/p-angeli14.htm Transfiguration 1440-41:fresco:
San Marco at Florence
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/angelico/present.jpg Presentation in the Temple (left) : 1440-41:Fresco:Convent of San Marco, Florence

・ルイーニ「若い女性の肖像」1525頃
うっすら微笑する女性の宗教的雰囲気のする絵として素敵であるのは勿論なのだが、不思議なのはルイーニの描く女性のみな似て見えることだ。
(がこれは、ダ・ヴィンチ、ポントルモ、アンドレア・デル・サルト、コレッジョなどにも或る程度…みられる現象とも思える。ダ・ヴィンチのモナリザが、彼自身の自画像と彼の描く聖女たちとの絶妙な掛合せに見えるように、
またポントルモの「マリアの訪問」の肩組み輪を描くすべての女性たちが、たったひとりの女性の若〜老への変遷を追うようにもみえ?たり、「十字架降下」の男性たちがみな気弱げな同一人物に見えたりするのと似て、
ルイーニのこの肖像画の女性も、彼の他の作品の肖像の顔(「聖ヨハネと子羊のいる聖母子」・「洗礼者ヨハネの首をヘロデ王に差出す執行人」の左の女性とヨハネ、「婦人の肖像」等)に似ている。
#ルイーニの描く肖像それ自身がダ・ヴィンチのとよく似た神秘性をたたえてみえるのは勿論なのだが。(だがルイーニは、より世俗的)
(またダヴィンチ自身、聖母像に同一の元型を抱いていたのかと思われるほど大抵のものがどれも酷似してみえる。婦人像の中ではモナリザが最もダヴィンチ自身に近い。聖母像で女性の描きわけを最も多様にしていたのは、この時期では案外ラファエロではないだろうか)

*ルイーニ「若い女性の肖像1525?」net検索上画像なし
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/l/p-luini1.htm
Saint Catherine, 1527-31:エルミタージュ美術館蔵
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943 Women in Art;1;Luini;Madonna and Child
他に、
「婦人の肖像」:ワシントンナショナルギャラリー蔵(画像なし)
「洗礼者ヨハネの首をヘロデに差し出す刑執行人」ウフィッツィ美術館蔵(画像なし)
の中のレオナルドタッチさながらの聖-女性像を参照されたい

cf)レオナルド・ダ・ヴィンチ
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/vinci/p-vinci25.htm
Virgin & Child with St. Anne:ルーヴル美術館蔵
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/vinci/p-vinci1.htm
Saint John the Baptist:ルーヴル美術館蔵



・グイード・レーニ「ゴリアテの首を斬るダヴィデ」
この動態の一瞬をとらえた拍力はものすごかった。サイズとしても大きなもの。
ひと目でカラヴァッジョの明暗と動の迫真性が彷彿した。

*レーニ「ゴリアテの首を斬るダヴィデ1606-07」net検索上画像なし
参考資料(カラヴァッジョ、ジェンティレスキの路線)
#明暗
Susannah & the Elders:The National Gallery, London
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/r/p-reni3.htm
#構図
Deianeira Abducted by the Centaur Nessus:1621:ルーヴル美術館蔵
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/r/p-reni4.htm


・カラッチオーロ「ヨセフとポテパルの妻」
これもカラヴァッジョを彷彿。差出した腕の効果(光との呼応関係?)はジェンティレスキの「ユディドとホロフェルネス」なんかが、、、と思い浮かべて、見ていたら、カタログにもその名が出てきたので思わず笑。

*カラッチォーロ「ヨセフとポテパルの妻1618」net検索上画像なし
参考資料(カラヴァッジョ、ジェンティレスキの路線)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/c/p-caracci2.htm
The Agony of Christ, 1615, Kunsthistorisches Museum at Vienna
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/c/p-caracciolo1.htm
Salome, 1615-20:Galleria degli Uffizi, Florence.

cf)カラヴァッジョ
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/caravagg/p-caravag3.htm
The Sacrifice of Isaac, 1590-1610, oil on canvas, Galleria degli Uffizi, Florence.
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/caravagg/p-carava37.htm
The Cardsharps (I Bari), approx:1595:Kimbell Art Museum,
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/caravagg/p-carava23.htm
Rest During the Flight into Egypt:Galleria Doria Pamphili, Rome
cf)A・ジェンティレスキ
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/g/p-agentileschi2.htm
Judith Slaying Holofernes, 1612-21, Galleria degli Uffizi, Florence.
cf)O・ジェンティレスキ
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/g/p-ogentileschi3.htm
Rest on the Flight into Egypt, 1628, Mus?e du Louvre, Paris.


・カルロ・ドルチ「洗礼者ヨハネ1677以前?」net検索上画像なし
参考資料(上目づかい・仰天)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/d/p-dolci2.htm
Magdalene, 1660-70:Galleria degli Uffizi, Florence

・カナレット「サンマルコ広場1740」net検索上画像なし
参考資料(サンマルコ広場の景観図的画法のひとつ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/canaletto/p-canaletto1.htm
Piazza San Marco- Looking Southeast:1735-40:
National Gallery of Art at Washington D.C.
(※カナレットの同時代や後世――18cヴェネチア派・古典主義・ロマン主義(グァルディ,ピラネージら)etc――に対する影響力は、大きかったように思う。
最近 ターナーが、プッサン〜クロード・ロランの構図とセンスの影響を多分に受けているのみならず、カナレットの俯瞰図的な目線、またカナレットの、殊に遠景の建造物などの透徹した写実のうえでの 或る種のデフォルメの仕方――量感の希薄化・ぼかし―――を、すなわち古典主義写実主義的でありつつすでにロマン主義を内包しているかの筆致を、ターナー自身のあの茫漠とした大気に覆われた図柄に至るまでのテクニックの、ひとつの参考にしていたのではないかとも思っている。)
カナレット
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943 18c Century Mastr. 81;Canaletto;Roman Temple
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943;Canaletto;3;Stone Mason's Yard(18cヴェネチア派・古典/ロマン派へ)
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943;Canaletto;2;Dresden Altmarkt(ターナーへ)
   同    Canaletto;2;Bacino Di San Marco
   同    Canaletto;3;Greenwich from the Isle of Dogs(17Cオランダ絵画 / ターナー)

クロード・ロラン
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943;Lorrain;1;Seaport with Embankment of St Ursula
   同 ;Lorrain;2;Sepia Mezzotint II(18Cヴェネチア派らへ)
   同 ;Lorrain;1;Landscape with Eneas At Delos(←プッサンからの影響をひく)
ニコラ・プッサン
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/poussin/p-poussin9.htm;The Funeral of Phocion,;1648:National Museum of Wales.
ターナー
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/turner/p-turner19.htm;Dido Building Carthage
(The Rise of the Carthaginian Empire), 1815,;National Gallery, London(→ロラン;St.Ulsula)
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943;Turner;1〜5
ex)GrandCanal / Stamford Lincolnshire / Bridge of Sighs / Venice(→カナレット)
ex)Tamworth Castle / Dartmouth Castle(→プッサン;ロラン)
ex)Arundel Castle(⇔ホイエン;ライスダールら17Cオランダ絵画)
ex)almesbury Abbey(→ロココ;17Cオランダ絵画――ホイエン;ファブリチウス)



〈フランドル・オランダ画派〉
・コラン・ド・コテール「聖ヴェロニカ」
キリストの顔の浮かぶ聖顔布を聖女ヴェロニカが手にぶらさげてこちらに見せている図。この構図、昔々見たような……と思って古い「西洋美術館」カタログをひもといてみたら、かなり酷似した、作者不明・プロヴァンス派による聖ヴェロニカが見つかる。だが同じものではなく、西洋美術館のほうは画面中央に聖顔布がおろされているのにたいし、コテールのそれは右端、つまりヴェロニカは画面右に身をよじることになり、顔も斜め向に…若干のエロティシズム(?というかむしろ微かな人間らしさ)をたたえてみえる。コテールはウェイデン門下。

*コテール「st.ヴェロニカ1510?」net検索上当画家作品の画像なし
(聖顔布をもつ聖女のモティフは当時よく描かれた――画家不詳のもの等含め)


・ヤン・マイデイン「聖アントニウスの誘惑」
マイデイン自身は未だ知らなかった。が おや、見覚えが?……と思えたのは、中央の首だけの老人や、その上の‘車輪’!、さらにその上にかかる刀の爬虫類的効果などが、「快楽の園」(H・ボッシュ)的妖魔性をたたえるから。が色調は、より暗いだろう。

*マンデイン「聖アントニウスの誘惑1540-50」net検索上当画家作品の画像なし
参考資料(ヒエロニムス・ボッシュを彷彿する。解説でも追随とされている)
cf)ヒエロニムス・ボッシュ
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/bosch/carrying/carrying.jpg
Christ Carrying the Cross :1490:Musee des Beaux-Arts, Ghent
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/bosch/delight/delightr.jpg
Hell Right wing


・ブリュッヘン「バックギャモンをする人々」
これもカラヴァッジョ彷彿。とくに感心するのは手前の騎士鎧を着た男の顔や腕を照射している光が、後ろの男の頭部半ばを照らす具合、右に寄りそい囁く男の顔にもかかる具合など、まったくつじつまが合っていることだ。
*ブリュッヘン「バックギャモンをする人々1627」 net検索上当画家作品の画像なし
(典型的明暗法の画法)

・ホイエン;ライスダール
彼らについては一見にしかず。ライスダールのほうはまだ彼の極端に下から見上げる、空が大半の、例の構図の作品ではなかったが美しかった。
ホイエンのタッチの方がいっそう死の匂いがただよう叙情性があるかも知れぬ。その分ロマンティシズムにも流れており、一層大気を茫洋とさせれば構図とともにターナーに直かに通じそうにも思う。シューベルトの冬の旅(の「詩」)のような。「曲」自体はむしろライスダールに近い。すなわちよりシビアで精神的に深刻。
叙情性――それは木の枝の、写実よりはむしろ象徴的な、描き方などに…。

ライスダールのほうが、たとえばクロードロランやカナレット(景観派)風に眺望的な写実性とともに、のちのコロー的筆致にも通じそうな詩的・婉曲的な木立・枝の描き方に近いように思える(大気の感覚?)ホイエンはどちらかというと、よりロマン派と同時にロココ調(シャルダンを含め、ブーシェ、フラゴナールら)に通じるもののように感じられる詩情を持つ…。それはターナー(構図面 / 遠景の鐘塔や海辺・船のデフォルメ)につながるだろう…(?)

*ホイエン「嵐1637」net検索上画像なし
参考資料(ロココがかった木や建物の描写;写実とロマンティシズムの同居
     低い目線、鬱々とした空の面積の広大→cf.ロイスダール)
ホイエン
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/g/p-goyen5.htm
River Landscape, 1636:Alte Pinakothek, Munich
フラゴナール
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943 18c Century Mastr. 64;Fragonard;Blindman's Buff
ブーシェ
http://www.allposters.com/Galleryc.asp?aid=99869&parentaid=0&startat=viewcard.asp?card=31930-25-117943 18c Century Mastr. 48;Boucher;Mill At Charenton


・ウィッテ「アムステルダムの古い教会内部」
教会交差廊や修道院回廊の交差せり持ちの好きな私には、実物を見たかった作品のひとつ。
教会モノ以外の、彼のまだ見ぬ作品と出会っても、ホーホなどとの見分けがもっと瞬時につくようになりたいと思っている。
一寸似た空間性。淡い光の明暗。。だがホーホのほうがより庶民的・・?
それにしても光にたいするオランダ人の感性はすばらしい。陽光の到来が断続的でおぼつかぬ、風車小屋の屋根裏?部屋で育ったとされるレンブラントは言うに及ばず。)
それとこの後のシベヒレツの精密な室内画にも言えることだが、当時のオランダには、サーカスのアルルカンの衣装にも似た白黒チドリ格子、市松模様の床が一般的だったようで、――むろんそれはフェルメールにも頻出する――この明解さが彼らの遠近法に対す精度とその消失法の分散バランスにたいする感覚の精緻さに、相当磨きをかけさせたに違いない。

*ウィッテ「アムステルダムの古教会の内部1655」net検索上画像なし
参考資料(教会内部を描いた画家)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/w/p-witte1.htm
Interior of a Church:Boymans-van Beuningen Museum, Rotterdam
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/w/p-witte2.htm


・アールスト「にしんの頭のある静物」
ワイングラスを通して視る風景の、描線の微細さ、テーブルの赤布の触感、にしんの眼のリアルな光。……驚異的写実。。一見の価値あり

*アールスト「にしんの頭のある静物1650-60」net検索上画像なし
参考資料(光の反射・質量感、至上のリアリティ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/a/p-aelst1.htm
Interior of the Oude Kerk at Amsterdam from the North Aisle to the East
:private collection

*シベレヒツ「美術愛好家のコレクション1661-72」
      net検索上当画家作品の画像なし
参考資料(#ホーホ;市松模様の床の部屋;遠近法→室内画:フェルメール)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/h/p-hooch1.htm
Woman Drinking with Two Men and a Maidservant:1658:NationalGallery, London.

*グラフ「男の肖像1790-99?」net検索上画像なし
参考資料(貴族的な男の顔、肌の透明感;バロック様式と較べた質朴さ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/g/p-graff1.htm
The Artist's Family before the Portrait of Johann Georg Sulzer:1785:
Oskar Reinhart Foundation, Winterthur


〈フランス画派〉
*リナール「ろうそくのあるヴァニダス(髑髏)1644」net検索上画像なし
参考資料(フランス画派、しかしカラヴァッジョ風?な静物描写・明暗法)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/l/p-linard2.htm
The Five Senses, 1638:Mus?e des Beaux Arts, Strasbourg
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/l/p-linard1.htm
Bouquet on a Wooden Box, 1640:Staatliche Kunsthalle, Karlsruhe

*シャンパーニュ(同上派)「ブーアン医師の肖像1625」net検索上画像なし
                             (写実とロココの辺境線?)
参考資料1(男の肖像画)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/champaigne/p-champaigne11.htm
Portrait of Robert Arnauld d'Andilly:Mus?e du Louvre, Paris
参考資料2(風景画:クロード・ロラン=プッサン=ミレー「英雄的な風景」へ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/champaigne/p-champaigne7.htm
The Miracles of the Penitant St. Mary:1656:Musee du Louvre, Paris.

・ラルジリエール「カーネーションを持つ女性の肖像」
このひとのは「幼い貴族の肖像」などでもそうだが、幼さののこる頬の赤みが独特にある。
だが思えばこの紅みは、フランスではほかにも以後ナトワール辺りから、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールとロココ。イギリスではホガーズ、レイノルズ、ゲインズバラの一部なんかにも見られるのに気付く。。。
やはりなにか当時の形式としたあったのだろうか。。ロココの先駆的?そもそもはルーベンスからなのか。。婦人の顔立ちは、好みではなかったけれどもレースの微細さ、肩から腕を被う布地(ベルベット)の光彩など、質感・量感、透明感などはすごかった。

*ラルジリエール「カーネーションを持つ女性の肖像1740」net検索上画像なし
参考資料(装飾細部の妙;レースの襞、服布地の材質感・しだいにロココへ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/l/p-largillierre4.htm
Family Portrait, approx:1710:Musee du Louvre, Paris


*パテル「旅籠屋の休息1728」net検索上画像なし
参考資料(しだいにロココタッチへ。城・樹木 cf)ワトー,フラゴナール)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/p/p-pater1.htm
The Fair at Bezons, detail:1733:The Metropolitan Museum of Art,
NewYork

*ブーシェ「フルートのレッスン1751」net検索上画像なし
参考資料(ロココ;牧歌的風景のなかの華やぎ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/boucher/p-boucher6.htm
Pastorale, detail:1761

*フラゴナール「アルクール公爵F=アンリの肖像1766-71」 net検索上画像なし
参考資料(男性の生命感、構図――左向き・右見返り)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/fragonar/p-fragona2.htm
Inspiration:1769:Mus?e du Louvre, Paris

*ヴィジェ=ルブラン「シャルロト・リットの肖像1797」net検索上画像なし
参考資料(女流画家の描く女性像。デッサンの確かさ・質量感、かなりのリアリティあり)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/v/p-vigee3.htm
Portrait of Countess Golovine:1797-1800:University of Birmingham

〈スペイン画派〉
*エル・グレコ「祈る聖ドミニクス1580-83」net検索上画像なし
参考資料(襞を伴ったゆらぎの下降線、雲などのグロテスク?な神秘性・技法の自由さ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/greco/p-greco7.htm
Laocoon:1610:?蔵
(暗いグロテスクな色調、ピラミッド構図)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/greco/p-greco6.htm
Saints John the Evangelist and Francis:1600:
Galleria degli Uffizi,Florence
(ピラミッド構図人物像;重力にゆらぎつつ下降線をたどる顔、衣服の布線)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/greco/p-greco23.htm
Saint Jerome as a Cardinal:Metropolitan Museum of Art:New York

*リベーラ「聖ヒエロニムス1636」net検索上当画家作品の画像なし
(明暗法、バロックダイナミズム)


〈イギリス画派〉
*レノルズ「レベッカ・ワトソンの肖像1758」net検索上画像なし
(少女像;ルーベンスやレンブラントの影響)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/reynolds/p-reynol12.htm
Master Hare:1788:Musee du Louvre Paris

*ゲインズバラ「ゲインズバラ夫人の肖像1778?」net検索上画像なし
参考資料(公的肖像画、銀灰色を基調;緻密/大胆な省略、自由なタッチ)
4Portrait of a Lady in Blue:late 1770s:The Hermitage at St. Petersburg.
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/gainsbor/p-gainsbo1.htm
Mrs. Richard Brinsley Sheridan:1785-87


〈印象派〉
コロー「田舎の一軒家に向かう小道1864」
   「アルジェリアの女1870-72?」 net検索上画像なし
参考資料
(風景画――クロード・ロラン/ワトーの影響→バルビゾン派へ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/corot/p-corot4.htm
A View near Volterra:1838:The National Gallery of Art at
Washington D.C.
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/corot/p-corot16.htm
Ville d'Avray- The Pond and the Cabassud House:1835-40
Mus?e du Louvre, Paris

(人物画――東洋趣味;同調色の明暗;微妙な陰影)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/corot/p-corot12.htm
Interrupted Reading:1870:The Art Institute of Chicago
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/corot/p-corot22.htm
Gypsy with a Mandolin:1874:Museum of Art, S?o Paolo

*クールベ「バッカス神の巫女1860年代?」(ポーズの与える画面への躍動感)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/courbet/p-courbe14.htm
Woman with a Parrot:1865-66:Metropolitan Museum of Art, NewYork


・ブーダン「トゥルーヴィルの浜辺」
目の悪い私には一瞬パステル画に思えてしまったこの作品(笑)のブーダンには、ドービニー、モネ、マネ、ドガ、バジール、モリゾ、カサット、カイユボット、はてはロートレックやシニャックにさえ通じるような、簡略化と色彩の光沢(ことに銀白)が凝縮してみえた・・。

*ブーダン「ドゥルーヴィルの浜辺1868」net検索上画像なし
参考資料(バルビゾン派→外光派)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/b/p-boudin1.htm
Bathers on the Beach at Trouville:1869


・ピサロ「ジャレの丘…ポントワーズ」
ここにはセザンヌの光の平面をみた。
そして、
・セザンヌ「レスタックの海」
ここにはピサロ、モネの光から、ゴーギャン、シニャック、マティス、ブラック……もう色いろな構図や色価の列序が凝集。。私にとってはこれまでに見たセザンヌのなかで一番「良さ」(彼の美術史的位置・意味ばかりでなく)がわかりやすい一品となった。
#その他ピサロ;モネ;シスレーのここに展示されていた全作品に充たされる。三者ともに互いの共通性がたしかめられやすい展示内容だった。
ところで、ひとつモネにしては一寸めずらしいかも知れない構図の絵、「木の橋」――――今夏、その奥様と知り合いになった福本章さん(パリ在住画家)の構図および色彩感覚によく似てもいた。奥様が、モネみたいな画風と旦那様を紹介された意味がわかったような。そういえば銀座の日動画廊に、福本さんの作品があった。
<以下、ピサロ,マネ,ドガ,シスレー,セザンヌ,モネの画像・参照画像>

*ピサロ「ジャレの丘のあるエルミタージュの眺め;ポントワーズ1867」
    「サンジェルマンからルーヴェシェンヌへの道1870」
    「ポントワーズの裁判所1873」net検索上すべて画像なし
参考資料(画面の平面性、幾何学的秩序感;セザンヌタッチ)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/pissarro/pissarro.village-path.jpg
1875; Rudolphe Staechelin Foundation, Basel
参考資料(まばゆい光、うごきの効果/人物配置によるぬくもりの演出)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/pissarro/pissarro.stage-coach.jpg
The Stage Coach at Louveciennes :1870:Musee d'Orsay
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/pissarro/pissarro.voisins.jpg
Entrance to the Village of Voisins:1872

*マネ「黒い帽子の婦人1879-82」net検索上画像なし
参考資料(省略法;素早い描写による特徴把握と質感の具現)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/manet/manet.serveuse-bocks.jpg
Le serveuse de bocks (The Waitress) :1879:Musee d'Orsay, Paris

*ドガ「アルバムを見る少女たち1884」(構図の偏りや工夫による動きの演出)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/degas/lala-cirque/degas.lala-cirque.jpg

*シスレー「マルリの雪景色1876」
    「ピイの小さな野原1880」
    「サンマメス-ラクロワ・ブランシュ1884」 net検索上すべて画像なし
参考資料(やわらかな色彩と静謐な雰囲気、モノトーンの雪日の色彩)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/sisley/snow.jpg
Snow at Louveciennes:1874 Phillips Collection, Washington, DC
参考資料(自然の細やかな神秘;80年に自然派の再発見を試みる。
     RAUでは‘玉’状に無数に置かれた点による葉光の表現があるが、
     資料は‘流れる’ような線のタッチで葉ずれと森の風の表現)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/sisley/chemin.jpg
参考資料(自然における光の変化を把握・空と大地、二面での奥行き表現)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/sisley/mill.jpg
Provencher's Mill at Moret:1883:Museum Boymans-van Beuningen,
Rotterdam
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/sisley/sisley.canal-loing.jpg
The Canal of Loing at Moret:1892:Musee d'Orsay, Paris

*セザンヌ「レスタックの海1876」 net検索上画像なし
参考資料
http://www.nikkei.co.jp/orsay/htgallery/gallery4.html
「レスタックから見たマルセイユ湾の眺め」18?:musee d'Orsay,Paris

*モネ「森の下生え1865」
参考資料(初期;コロー・クールベ・ドービニーなどを敬愛していた頃の作品。光のコントラストの忠実な描出)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/monet/early/monet.adresse.jpg
garden at Sainte-Adresse:1867:Metropolitan Museum of Art, New York

参考資料(厳格な構成と筆触のすべらかさの同居)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/monet/parliament/westminster.jpg
The Thames at Westminster (Westminster Bridge):1871:
collection Lord Astor of Hever; National Gallery, London
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/monet/early/low-tide/low-tide.jpg
Breakwater at Trouville, Low Tide 870 (50 Kb):Szepmuveszeti Museum,
Budapest

参考資料(「印象・日の出73」以後;大気の変化、拡散する光の追従。カンバスの透かし)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/monet/later/monet.seine-argenteuil.jpg
The Seine at Argenteuil


・ルノワール「バラを飾る少女」
Oui!(笑)遠くの画布から乙女の芳香が放たれていた…。

*ルノワール「バラを飾る少女(マルゴ)1876」
参考資料(同時期、マルゴのいる風景を描いたもの)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/renoir/moulin-galette/renoir.moulin-galette.jpg
Le Moulin de la Galette:1876:Muee d'Orsay

*カサット「子供に授乳するルイーズ1899以降」
参考資料(親密な母子像;特徴的「斜線」の背景/描写力・色彩センス)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/cassatt/p-cassat29.htm
The Caress:1891:pastel:New Britian Museum of American Art
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/cassatt/p-cassat41.htm
The Family:1892:The Chrysler Museum, Norfolk, VA.

*カイユボット「雪に覆われた屋根1886以降?」
参考資料(遠近法の効果)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/caillebotte/caillebotte.rooftops-snow.jpg
Rooftops under snow:1878:Musee d'Orsay

*シニャック「海、サンブリアック…1890」
参考資料(点描画法)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/signac/signac.port-st-tropez.jpg
Port St. Tropez:1899:Musee de l'Annonciade, St. Tropez

*ロートレック「踊り子ガブリエル1890以降?」
参考資料 (大胆奔放な筆致、省略法)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/toulouse-lautrec/alone.jpg
Alone:1896:Oil on board(厚紙):Musee D'Orsay, Paris


〈ナビ派・象徴派〉〈フォーヴィズム〉
・ナビ派;フォービズム
実のところ、これらについてはまだよく区分がわからない。(笑)ドニ(「七月」)やセリュジェ(「ル・プールデュの春」)のセザンヌを延長するかの画風――ナビ派と、おなじく延長上にあると思えるゴーガンやマルケ(「マルセイユ古港」)、ヴラマンク(「フォーヴの風景」)、ドラン(「糸杉」)など――フォーヴィズムを、どう腑分けしてよいのか…。後派は多少タッチにルドン風の幻想性を帯びてはいるようだけれども。いくらかフォーヴィズムの色彩は多岐に富んでおり鮮やかで豊かだが、ナビ派も装飾性はゆたか。両者ともに輪郭線もある。ルオーなどあきらかにフォーヴィズムに入るとわかる画家もある(ただ<野獣的>と思われる色彩の画家にはノルデ,キルヒナー,マッケなど表現主義であることも多い…)が、この作品のドニとマルケなんかはかなり近い気も。ドニには色調を抑えたものもあれば豊かなものもある。ゴーガンを後期印象派に入れる場合もあるようだし。
また今回のRauの出典ではないが、マティス(エトルタ辺りを描く彼)、スゴンザック、ギゼ らは、かなりゴーガンらと通底する部分があるみたいに見えてしまう。主にどういった基準での分け方なのか。

〈ナビ派・象徴派〉
*ルドン「花瓶の薔薇1870以前?」・「アポロンの戦車1905-14?」
参考資料(薄塗り、単純化された花びら、マネの静物省略法を師とする作品とある)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/redon/p-redon34.htm
参考資料(神話伝説テーマへの傾倒、光と影による輪郭・大気の拡散。日本画的金粉風の雲のハイライトにオリエンタルな青の下地)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/redon/p-redon33.htm
The Chariot of Apollo:1912:Ian Woodner Family Collection, New York.

*ホードラー「女性の肖像1884-90」
参考資料(飾り気のない平坦な筆触、輪郭に線を使用。のち、宗教的壁画に傾倒)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/h/p-hodler3.htm
Portrait of Louise-Delphine Duchosal:1885:
Oskar Reinhart Foundation,Winterthur.

*クリムト「老女1909-10?」
参考資料(具象化されたと同時に見事に象徴化された老いの顔、幾何学性;装飾様式から一時離れた時代の作)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/klimt/p-klimt33.htm
Judith II:1909:Galleria d'Arte Moderna, Venice. 96KB
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/klimt/p-klimt6.htm
The Black Feather Hat:1910:Private Collection, Graz

〈フォービズム〉
*マルケ net検索上当画家作品の画像なし

*ブラマンク「フォーヴの風景1907?」
参考資料(赤黄青の三原色基調;「色彩が空間と光を統治する」)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/v/p-vlaminck1.htm
The River, 1910, National Gallery of Art, Washington D.C.

*デュフィ「サン・タドレスの浜辺1905-6?」
参考資料(図像と色彩の無関係――現実の対象自身のもつ色に即するのではなく画面全体を生き物として、アッピール;生きた存在感を強くする為の個々の色合を選択)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/d/p-dufy1.htm
Regatta at Cowes:1934:National Gallery of Art at Washington D.C.

*ドラン「糸杉1907」net検索上画像なし
参考資料(RAUコレクションで見た作よりカラフルで簡略化も少ない、デュフィにも近       いか)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/derain/p-derain1.htm
Charing Cross Bridge:1906:Mus?e d'Orsay, Paris


〈表現主義〉
*ムンク「フォン・ホフマン夫人の肖像1927」net検索上画像なし
(「叫び」を描いてから30年後;ルノワールの影響とされる。構図のシンプルさ)
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/munch/p-munch15.htm
Woman in Blue (Frau Barth):1921:private collection

*マッケ「緑の衣装の道化1909-10?」net検索上画像なし
(明るい色彩と幾何学的な造形;バレエ・サーカスものなど多い。青騎士のひとり)
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/macke/p-macke3.htm
Portrait of the Artist's wife Elisabeth with a Hat:1909:
Westf?lisches Landesmuseum fur Kunst und Kulturgeschichte, M?nster

*ボナール「ウリアージュの開かれた窓1918?」
参考資料(マティスに似た平面性・幾何学性のつよい作風のもの)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/b/p-bonnard3.htm
Portrait of the Bernheim Brothers:1920:Mus?e d'Orsay at Paris.

*ヴュイヤール「マロニエ・トリュフォー通り1900」
         「自画像1889」
         「アンドレ・ベナ氏の肖像1936」
参考資料(日本の版画的画風;遠近法の少ない平面座標上に色彩濃淡による奥行き演出)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/v/p-vuillar3.htm
Le D?jeuner Villeneuve-sur-Yonne, approx:1902:
National Gallery at London.
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/v/p-vuillar1.htm
Madame Arthur Fontaine:1904-05:Art Institute of Chicago. 141KB


〈以降〉
ローランサン「3人の少女と2匹の犬1940年代?」net検索上画像なし
(単純化・表象化された顔、日常の題材にひそむ或る種の官能的幻想性)
参考資料
http://shinshu.online.co.jp/art/laurencin/collect.htm

・モランディ「瓶とグラスのある静物」
好みというよりは最近たしかに“気を引く”現代画家。ここで出会えるとは…。
不安げな…頽廃的シャルダニズム(?)彼は神経症の苦しさを知っていないだろうか。

以前雑誌で目にしたとき――それも静物画だったがこれとよく似た、これとは別の「茶碗のある静物」。――思わずシャルダンを喚起され、その極端に単純化された幾何学的秩序の厳格さのただなかに、背理としての一種ダダイズムを感じた。背理としての!それはニヒリズム(無自覚)ではあろう。彼は無意識にとても訴える…それはたとえばノルデやカンディンスキーなどのそれ(創作意欲に通じるものや夢幻的な自発性をそそる)とはちがい、秩序化すればするほど助長される、形而上的なトリックじみた不安(カルロ・カルラの部屋の絵や、キリコの街角の影の絵などの持つ、或る暗示性)に、おそらく通じる類のもののようだ。(ある種、日本画のだまし絵のような……だがもっと真面目!な)
知の不安……。彼は何を怯えているのだろう、、それが彼の静謐。
知覚;言語(概念)。これらが落とし、零れるもの。形象に当て填まらぬ 気配のようなもの。けして取り込まれることのない・・・それが彼を幽かにおびやかし、その筆をいっそう丹念にさす…。
現実は、言語からも絵画的平面からも洩れだし、零れ落ちる。・・・
「現実」の支配力への不安と、現実から遊離している(?)ことの不安・・! 
カタログにはシャルダン(!おや、まぐれ当たり。 笑)の他、コローの影響も云々とあったが、たしかに銀灰色の基調のかもす簡素な古典性、とくに初期のコローが入念な仕上げをせずデッサン風に描いた筆触に近いものと、いくらかくすみ、落ち着きのある赤と緑の、あの安定感が、彼の画面にもある気がする。(この{くすみ}は幾らかモンドリアンの3原色をも想起さす)

*モランディ「瓶とグラスのある静物1945-55?」net検索上画像なし
(形而上学的矛盾を入念な精神性によって静謐世界に閉じこめたという印象を受ける)
参考資料
http://nagoya.cool.ne.jp/ange3/page16.html
http://www.fgallery.com/museum/1998/9805.htm
http://page.freett.com/monet/artist/morandi.htm

cf)シャルダン(静物)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/chardin/p-chardin1.htm
Pipes and Drinking Pitcher, 1737, Mus?e du Louvre, Paris. 77KB
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/chardin/goblet.jpg
The Silver Goblet,17??,Musee du Louvre, Paris












【オルセー美術館展1999】

〔全般概要〕
◎オルセー美術館展(全般)オンラインギャラリー:nikkei net
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery2.html
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery3.html
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery4.html
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery5.html


{彫刻}
・ブールデル。四・五年まえ、彼の「弓を引くヘラクレス」に惹かれ、夢中で模写した(美術好きの従兄にあげてしまった)ものだった。でもこのブールデル「アポロンの頭部」は、「ヘラクレス」「瀕死のケンタウロス」などより、まだずっと素朴。。
ロダンのがベクトル放出的・誇張的・不均衡に分散的なのに比べ、ブールデルのアポロンは求心的・原基的なものに向かう素朴さが。それにしても見覚えが?、、と思ったら、これもずっと以前、西洋美術館所蔵品カタログで出会っていたのだった。

*ロダン「ベローナ1879?」
(いくらかロマンティシズムを帯びたミケランジェロ的動性・展開性志向)
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html
*ブールデル「アポロンの頭部1900-09?」
(ロダンより質朴、質実剛健で力学的拡散がない、求心的造形性・集中型?)
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html


〔個別絵画〕
・アングル「パフォスのウェヌス」
これアングル?ちょっとシャセリオーみたい…。デッサンが不均衡なところが。
(むろんアングルにも首のな長さなど諸々の不均衡さはあるのだが、それは計算されたもの。だがシャセリオーにはデッサンレヴェルでの不安定さがあると思っていたのだ。そしてこの作品のいぶかしさの直感的印象は、むしろ後者に近い)カタログにもあるように、その要因はデフォルメ(意図的)によるものだろうけれど、「泉」のような正確さと天才的均斉とに裏打されたエロティシズム(古典主義的逆説?としての法悦)のほうが、自分にはいい。

*アングル「パフォスのヴェヌス1852-53」
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/ingres/p-ingres17.htm
Venus at Paphos, 1853-53, Mus?e d'Orsay at Paris. 51KB
cf)「泉」(アングル;オルセー展)との参考資料
http://www.mmjp.or.jp/fine-art/fine-art/sakkamei/sakka-annguru.htm
アングルに於ける身体(首・背中の長さ、すべらかさ等意図的デフォルメ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/ingres/p-ingres8.htm
cf)シャセリオー「エステルの化粧1848」と比較したい。身体デッサンの不均衡
参照画像「エステルの化粧」――net検索上画像なし

*ジェローム「闘鶏1846」
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html
「エルサレム;ゴルゴタ:我事終れり;磔刑1868」検索上画像なし

・J・E・ドローネー「ローマのペスト」net検索上当画家の作品画像なし
ベックリンやラファエル前派、世紀末芸術にも通じそうな神話的幻想性に思われる。。


・ドニ「ミサ聖祭の栄光」
古代・中世・近現代がひとつの位相に平面化されたような夢幻的作品。。
聖歌隊のサープリス……私の大学時代(笑)。襞pliの彫刻性・レリーフ性はやはりドニの心をも打ったのか。でもドニが宗教と関係あると思わなかった。(寡聞)

*ドニ「ミサ聖祭の栄光1899」
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/d/p-denis1.htm
Nazareth, 1905:Collection of Modern Religious Art, Vatican Museums
#ドニに於ける「襞」と光
Mother and Child, 1890s:The Hermitage, St. Petersburg
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/d/p-denis5.htm


・アンリ・ファンタン=ラトゥール「夜」
ファンタン=ラトゥールには「バティニョール街のアトリエ」のように古典的ともいえるほどの透徹した写実の画があるかとおもえば、この作品や「ワグナー・ラインの黄金第一場」などのように、ドラクロワ〜ルノワール、ターナーから、いっそJ・パスキンにも通じそうなな筆触の毛羽立ち・茫洋さもあり、何か不思議なひとだ。
(いずれにしてもデッサン力は、すごそう。)
もっともこうした極端な両面性はモネにもあって、初期の「アトリエの一隅」や今回出展の「庭の女たち」なんかと、「印象・日の出」以降の差異には、驚異的なものがある。
ピカソも然り。

*ファンタン=ラトゥール「夜1897」
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery1.html
ファンタン=ラトゥールに於ける写実主義と、ロマン主義の同居は面白い。今回の「夜」や「ワグナー;ラインの黄金」などの作品の、ドラクロワ-ルノワール-ターナー路線的茫洋世界を、一方の写実的な作風との比較をしたい。
<写実的作風>
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/fantin/p-fantin1.htm
An Atelier in the Batignolles:1870:Mus?e d'Orsay, Paris
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/fantin/p-fantin2.htm
Still Life with Flowers, 1881, Art Institute of Chicago

=====
ドレ「謎1871」
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery2.html
(グランヴィル、ドーミェらと共にルイフィリップ政権下、暴政腐敗と戦争に悩む民衆の悩みを悩み、世を風刺し抗議する一方、ジャーナリスティックな力の台頭を芸術の魂の再生への たのみにもした社会的眼識を持つドレの、モノクロムな寓話的暗示的作品)

*アンリ・ルソー「駆け抜ける不和の女神1894」
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery2.html
(一見拙いかに見える単純素朴な筆で近現代――産業社会の荒廃、戦争の悲惨)を、森や原始的自然など、風景描写において逆説的に感知させるとともに、妙に中世画的図案的な木々や葉のデッサン、新旧世紀混合の異妙な ものがたり性をも彷彿させるかにみえる)
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/r/p-hrousse2.htm
In a Tropical Forest: Fight Between a Tiger and a Bull, approx:
1908:The Hermitage at St. Petersburg

=====
*カイユボット「鉋をかける人々1875」
(構図の大胆な偏り、遠近法の消失点の計算されたズレ・奥行きのダイナミックな強調による効果を、この作品にも典型的にみる気がする)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/c/p-cailleb3.htm
The Floor Scrapers, 1875, oil on canvas, Mus?e d'Orsay at Paris

*マネ「給仕する女1878-79」
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/manet/manet.serveuse-bocks.jpg
Le serveuse de bocks (The Waitress) :1879:Musee d'Orsay, Paris

*モンドリアン「埠頭-出漁1898-00」
(「しょうが壺の静物1912」・「コンポジション1918」以前の作だけに抽象度は低いが、すでに空間性における奥行の座標軸の排除と、背景と静物の次元の一元化、また殆ど2〜3色調にしぼられたモノトーンな世界での濃淡による、セザンヌの意志継承的表現?を、淡い水彩と木炭で行っていた)
net検索上画像なし
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/mondrian/p-mondrian4.htm
Still Life with Gingerpot II:1912:Haags Gemeentemuseum
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/mondrian/gray-lt-brown.jpg
Composition with Gray and Light Brown:1918:Museum of Fine Arts,
Houston, Texas

*モネ「庭の女たち1867」
(印象主義手法の手前の作風、光への忠実な追従)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/monet/p-monet15.htm
The Women in the Garden, 1866-67:Musee d'Orsay, Paris

cf)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/monet/p-monet14.htm
Jeanne-Marguerite Lecadre in the Garden, 1866:The Hermitage,
St.Petersburg
「アルジャントゥイユのレガッタ1874」
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/monet/p-monet9.htm
Regatta at Argenteuil:1874:Musee d'Orsay, Paris


*ボナール「ヨットにて1912」 net検索上画像なし
参考資料(比較的平面性のつよい画面に、視点の移動・ゆらぎを助長、喚起する、不均衡な画面構成;遠近法逸脱の効果を利用)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/b/p-bonnard3.htm
Portrait of the Bernheim Brothers:1920:Musee d'Orsay at Paris.


・マネ「浜辺にて」
ドービニー、ブーダンからゴーガン、マルケ、後出のプリネ(「カブールの浜辺」)〜ロートレック を結ぶ線上にある、典型的なマネの手法がある作品だと思った。
空間(奥行)と人物(立体・実体)の同化の平面。波や砂、布地の一元・簡略化手続。

*マネ「浜辺にて1873」
(大胆な素描的省略法により思いがけない画面のひきしめ効果がある)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/manet/p-manet25.htm
On the Beach:1873:Musee d'Orsay, Paris
cf)ブーダン「ドゥルーヴィルの浜辺1869」
参考資料(バルビゾン派→外光派。自然光再現と省略法の元祖!?)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/b/p-boudin1.htm
Bathers on the Beach at Trouville:1869

=====
*ルノワール「猫と少年1868-69」「若い女性のトルソ1875-76」
(女性像および女性の生命力にみちた裸体による人間の清潔な讃美を描いた彼も、まだ60年代後半にはめずらしく少年によるほのかな性表現も行っていた、トルソは女性の肉体、肌に光沢と陰影をあたえる木漏れ日の映現と効果を習作している)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/renoir/p-renoir21.htm
Young Boy with a Cat, 1868-69, Musee d'Orsay at Paris.
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/renoir/portraits/
Study for Nude in Sunlight:1875-76:Musee d'Orsay, Paris


・ドガのスケッチ帳およびブロンズ!ふふ、収穫・収穫。。(^_^)v
それにしても「入浴」のブロンズを見て、U・ボッチョーニのブロンズ、「空間における瓶の展開」を想起してしまったのは私だけだろうか?(キュビズム以降の内包なのか…。)
そうそう、「アプサン」は実物のがずっと鮮やかな感じで――ドガの色遣いにはどちらかというとくすんだ印象があるように見えるが――よかった。

*ドガ「スケッチ帳より;男の裸体習作・裸婦習作」・「ブロンズ像群」
スケッチ習作群はnet検索上画像なし

参考資料
(バレリーナと浴女のポーズの同質性―姿態研究)
(構図における不均衡;正規の遠近法的構図に当てはまらず、広角レンズ的効果と配置のシンメトリのズレによる、空間性と移動性の強調を行っているようにみえる)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas39.htm
The Dance Examination, pastel, Denver Art Museum
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/degas/ballet/degas.danseuse-chaussons.jpg
La danseuse aux chaussons (thanks to Gerard Dahan.)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/degas/ballet/degas.dance-opera.jpg
Dance Class at the Opera:1872:detail; Musee d'Orsay, Paris
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas33.htm
The Morning Bath, 1890, pastel on paper, The Art Institute of Chicago
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas19.htm
After the Bath: Woman Drying her feet, 1886
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas28.htm
Bathers on the grass, 1886-90, pastel:Musee d'Orsay

「肘かけ椅子に座り体の左脇をぬぐう女1896-11」ブロンズ像
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery4.html

《推量》
#彫刻におけるドガと、キュビズム以降のARTとの比較
 ――同一空間における時間軸のズレ
(姿態の動勢;視線の移動性と未来派へのつながり?を見る気がした)
cf)ボッチョーニ「空間における瓶の展開(彫刻)」 net検索上画像なし
  =未来派(綜合的分析主義?)
参考資料
http://www.townkiss.co.jp/guide/sightseeing/mm21/MUSEUM/object-age/
「空間における連続性の唯一の形態(彫刻);ボッチョーニ」

◇絵画という平面における セザンヌの手法――3次元の分析主義的断続面の同一画面上での同居=「一」空間(時間)における時間軸(空間軸)のズレ(典型;下記例)を、
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/portraits/geffroy/geffroy.
jpg「ギュスタヴ・ジェフロワの肖像」:1895
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/sl/plaster-cupid/cezanne.
plaster-cupid.jpg「キューピッドのある静物」:1895
(※上記、3次元の軸ズレ;俯瞰図角度の差異強調を、ものの配置によって工夫)

ドガは、対象(動的姿態など)そのものの動勢やそれを見る主体の視線の移動を自然と促す構図性そのもののアンバランス(広角レンズ的脱シンメトリ)効果により工夫し、キュビズムないし未来派はそれを図像的および器械的に断続(分析)的統合を行ったのではないかという印象を受ける

*ドガ「たらいの中の浴女1886」
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas27.htm
The Tub, 1886:pastel on cardboard:Musee d'Orsay, Paris


*セザンヌ「水浴する男たち1890頃」円錐(ピラミッド)構図のひとつ
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/bath/cezanne.bathers.jpg
Bathers:1890-91:The Hermitage, St. Petersburg


・ロートレック「赤毛の女」
え?ドガのパステル画にみえてしまった。このふたり、自意識の屈折をもたない素直な女性の後ろ姿が好きと見える。後出のボナール「化粧」も。

*ロートレック「赤毛の女;化粧1896」(油彩カルトン)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/toulouse-lautrec/toilette.jpg
The Toilette:1896:Musee D'Orsay, Paris
cf)上記ドガ「たらいの中の浴女」(パステル)とのタッチの近似
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas27.htm
The Tub:1886:pastel on cardboard:Musee d'Orsay, Paris


*ホイッスラー「紫と緑の変奏曲1871」(Japonism、北方象徴主義?)
参考資料
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/whistler/p-whistler12.htm
Symphony in Grey and Green: The Ocean:1866-72:Frick Collection,
New York.

*ホーマー「夏の宵1890」
(色彩の抑制的トーンによる詩的情緒と筆跡のダイナミズム)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/homer/p-homer3.htm
Summer Night*, 1890:Musee d'Orsay, Paris


・セザンヌ「レスタックからみたマルセイユ湾の眺め」
Rauコレのレスタックもグゥだったが、このレスタックもいい。どちらかというとこちらのが脱印象派的でゴーガンやブラック(キュビズム)好みだろうか。
「プロヴァンスの山並み1879」なんかにつながりそうなタッチと思った。あ。ほぼ同じ制作年代だ。(^^)
そして、

・ゴーガン「レ・ザリスカン、アルル」
この辺りになるともう「ビべミュスの石切場(セザンヌ)」が彷彿する!!
お互いに侵犯し合ってるかのよう。他のゴーガンの作品、「淵のうえで」の赤系色などが彷彿してしまう!あ…これまた同じ年代! 1888。多少目が慣れてきたかな。

*セザンヌ「レスタックから見たマルセイユ湾の眺め」
*ゴーギャン「レ・ザリスカン・アルル」
ともに
nikkei net:オルセー美術館オンラインギャラリー4)人間と自然
http://www.nikkei.co.jp/orsay/htgallery/gallery4.html

cf)セザンヌとゴーギャン――タッチ・色諧調・無機性・奥行を削した空間性、との比較
ゴーギャンの「レ・ザリスカン・アルル」と
セザンヌ「石切場の角」(「ビベミュス」・「プロヴァンス」風景関連中とくに)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/st-victoire/cezanne.corner-quarry.jpg
(Corner of Quarry )1900-02:The Barnes Foundation,
Merion, Pennsylvania


・ゴッホ「星降る夜アルル」
ナマで見るほうが執拗な感じがせずにとてもよかった。モネやシスレーなどと比べるとやはり厚い筆致の感じで、3者のなかではピサロ(の一部作品)が一番近いかも知れない。彼の絵は渦を巻きはじめるととても緊張させられるが、この辺りの作品だと線の歪みもなく一定の距離を置いて、リラックスして見られた。

*ゴッホ「星降る夜アルル1888-89」
(空の光・街の光・水上に映じる光影;黄金の3層)
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/gogh/gogh.starry-night-rhone.jpg
Starry Night over the Rhone:1888 Musee d'Orsay, Paris
参考資料(渦巻く空と光)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/gogh/p-gogh41.htm
The Starry Night, 1889:The Museum of Modern Art, New York


・クリムト「樹々の下の薔薇」
これも肉眼でみたほうがずっとよかった作品のひとつ。空間の一元化のようなものは、彼にも見受けられると思っていいのか(手法;思想)。でも点描のせいか空間は一層集約的、圧縮的な感じもした。。うつくしかった。

*クリムト「木々の下の薔薇1905」
(黄色い点描的ポイント以外、碧のモノクロム濃淡の点のみで圧縮された平面性の強調図柄のなかで、肉眼では薔薇の薄紅〜白がきわめてアクセントの光彩を放ち美しかった)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/klimt/p-klimt1.htm
Roses Under the Trees:1905:Musee d'Orsay, Paris

*ムンク「アースガールトストランドの夏の夜1904」net検索上画像なし
参考資料(強調される奥行き;3次元空間)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/munch/p-munch1.htm
Girls on a Bridge:1899-1900:プーシキン美術館,Moscaw
(さらに奥行きの中での、物量の切迫感・ヴォリューム感の強調がなされ展示画「夏の夜」に、より通じる面がみえる気がする)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/munch/p-munch18.htm
Self-Portrait with a Wine Bottle:1906:Munch Museum Oslo

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*クールベ「傷ついた男1844?」
(写実画家の内面性の強調、スルバランなどスペイン画派の影響があるとされる)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/courbet/p-courbet2.htm
The Wounded Man, 1844:Musee d'Orsay at Paris

*ドガ「アブサンを飲む女1875-76」
(構図の故意な不均衡;視線の奥行きへの促がしとそれによる手前にできる空虚な空間性――孤独感の増徴がなされると思われる)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/degas/p-degas24.htm
In a Cafe (The Absinthe Drinker), 1875-76:Musee d'Orsay in Paris


・ヴュイヤール「眠り」
この手のものはけして好みではないのだけどつい夢には出てきてしまうのだ。
何故? 印象派的要素はもう見られない。沈滞した同系色の占める構図のなかに、黄色ばんだ白と赤だけがアクセント。

*ヴュイヤール「眠り1891?」net検索上の画像なし
(死をも暗示させる茶緑黒モノトーンの、いわばナビ派風に圧縮された空間性)
参照資料(細密図柄でクリムト風・版画風に圧縮された3次元性と光・陰の
     コントラストの美しさ)
http://sunsite.sut.ac.jp/cgfa/v/p-vuillar2.htm
The Reader:1896:?蔵

・モネ「死の床のカミーユ」
曰わく付きの作品・・。衝撃的作品とされる人も多い。グレー〜ブルー、同系色による鎮魂歌。画家だましいのなせる壮絶な自動記述による、喪失感の慰安と救い(昇華)とも言えるのか…。

*モネ「死の床のカミーユ1879」
(後期ファンタン=ラトゥールばりの茫漠とした画面と速筆による流れる筆致、色諧調も青濃淡のみによる)
http://www.nikkei.co.jp/orsay/gallery/gallery5.html


                              ――――以上
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