PRIZE FIGHTER

販売:SEGA

「ぅーLet's get ready to rumbleぉー」

「ナイトトラップ」や「トムキャット・アレイ」などに次ぐムービー主体のゲーム。当時は結構このシリーズは斬新だったんですよ(笑)。日本国内ではまず「ナイトトラップ」が出たわけですが、不親切でとっつきにくく感じる人が多かったようで、あんまり人気が出なかったんでしょうか、続く「トムキャット・アレイ」や「プライズ・ファイター」はなかなか日本国内版をセガは出してくれませんでした。もちろん秋葉原の「機を見るに敏」な海外ゲームを扱うショップはすかさず取り扱い開始です。おまけに始めのうちは7000円くらいした海外ソフトアダプターも大幅値下げ。SEGA-CDソフトはこのころから始めた、という人も多いかもしれませんね。
閑話休題。プライズファイターの話でした。
完全一人称のボクシングゲームで、相手の隙を見つけてそこにパンチを叩き込む。ゲーム画面は小さく、モノクロながら、方向キーでスウェイやダッキングができ、正確に1分間に3回、20秒ごとに(笑)相手がクリンチをしてきたところで、ムービーが分岐する。そのため、一本調子にはならず、展開は多岐にわたる。
ムービー主体のゲームというのは、えてしてLDゲーム的になりがちだが、これも、それなりの自由度があるが、そうであることを否定することはできない。LDゲーム的、つまり「画面の指示にしたがって操作させられる」といった感じなのだ。ただし、それはオプションで相手の隙を表示する設定にした場合。こうすると、最初の1ラウンドに限り、矢印でパンチを叩き込める位置を指示してくれる。こうするとLDゲーム的。デフォルトではそれは表示されなく、「矢印の出ない」LDゲームになってしまう。要するに歯が立たないんである。だから、矢印の出るモードにして、何がなんでも1ラウンド以内にKOしてしまわなくてはならない(笑)。
ゲームやオープニングの画面は、前にも書いてあるが完全一人称。自分の姿は全く画面には映らない。ゲーム画面はそのまま自分の視線だ。すべてが自分の視点なので、試合前の光景などが非常に臨場感があっていいのだ。

控え室でトレーナーが自分に向かって何か語り掛ける。
「よし、行くか」という感じで立ち上がり、花道を通ってリングに向かう。
リングサイドの客がなにか語り掛ける。
リングに入ると、つい視線はラウンドガールに(笑)。
ラウンドガール、こちらに微笑みかける。
セコンドを一瞥する。
リングアナ、リング・イン。
リングアナ、マイクを受け取り、コール。
「Ladys and gentleman,boys and girls.Let's get ready to rumble!」
リングアナ、こちらを指差し、コール。
相手側をコール。
両者、リング中央へ。二人の間にはレフェリー。
レフェリーゴング要請。

ずーっと一人称視点。自分の姿は一切写らない。ゲーム中も、である。 自分がKOされたときだってそうである。
一瞬目の前が暗くなり、カメラ(あえてカメラ、というが)は天井を向いている。
レフェリーが、上からこちらを覗き込むようにカウントを取る。「5,6,7,8,9,10!You're out!」
といった感じ。
ところでこのゲーム、2枚組である。いまでこそ5枚組とかムチャなゲームもあるが、これまだ当時は画期的であった。対戦できる相手は4人いるのだが、3人目と4人目は2枚目のディスクに入っている。ムービーだなんだで結構な容量なんだろうなぁ。
ゲームの話はこのくらいにしておいて、日本人は見逃してしまうが、これに登場するリングアナについて。
「Ladys and gentleman,boys and girls.ぅーLet's get ready to rumbleぉー!」
というこの名調子、マイケル・バッファーという、アメリカのプロレスやボクシング業界では相当な有名人なのである。この台詞が出ると大盛り上がりなのである。試合前と試合後の違いこそあれど、アントニオ猪木の「1・2・3・ダー!」にも相当する(笑)。
一回石井館長がK-1のリングに呼んだことがあったけど、K-1の観客(≒ミーハー、格闘技初心者。もちろん全部がそうだっていうんじゃなくてね。)は、理解できなかったみたいですね。K-1のリングアナはやっぱり関根勤ですかね(笑)
最近では、ドリームキャストの「レディ・トゥ・ランブル・ボクシング」(ほら。この台詞がタイトルになっちゃうくらい。)にも登場しているので比べてみて「あ、ほんとだ」くらい思っていただければ幸いである。

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