なぎさTRAIN

松本エリアロゲイニングシリーズ

上高地線ロゲイニング (5hソロ) 参戦記

2018.3.24[]

経緯

2018年は大した事情もないが諸事情によりレース数を削減する計画。例年初戦となる「春のランニングフェスティバルin信州スカイパーク」は、今年はボランティアとしての参加にとどめた。しかし松本ロゲイニングのスプリングステージが4年ぶりに波田に帰ってくる。名称は「上高地線ロゲイニング」と分かりやすくなっているが、松本中心市街地を含めたエリアや5時間制限であることなど、ほぼ同じフォーマットで行われるらしい。これは前回ロゲ初参加ながらソロ優勝した者として外せない(チームの部の阿闍梨さんには大敗してたが)。

参加者用フリー乗車券など

トレーニングは例年通り年明けから、4月の長野マラソンサブスリーに向けた走力アップと、地形図片手に走る地図読み訓練をぼちぼち平行してやっておく。参加者リストによれば去年の生坂村ロゲイニングでソロ優勝だったB府さんがチームの部に移っており直接的な脅威にはならない。同2位のT山さんが最大のライバルであり、自分は同3位だったがきっとマークはされているだろう。恥ずかしいレースはできない。油断すれば他の伏兵にも負けるが、やはり目標はチームの部を含めた総合成績で最高点を叩き出すこと。阿闍梨さんは今回は来ないようだが、あのチームだったらどんな戦略を取るだろうか?を想定しつつ自分も戦略を練りに練っておく。

日記

3月24日() 上高地線を待つ君の横で僕は時計を気にしてる

参加者用に郵送されていた特製「上高地線電車一日フリー乗車券」で松本駅からアルピコ交通(松本電鉄)に乗り込むと、車内はだいぶ混雑している。大半が「ふるさと鉄道まつり」目当てで新村駅で降車し、残りが上高地線ロゲイニングの参加者たちだ。車内アナウンスの自動放送が先週あたりから声優の高瀬絵菜さんによるものになっているが、気付いた人はいるだろうか。波田駅で降りてすぐ、波田公民館がスタート/フィニッシュ会場。受付を済ませて早めの昼食を摂り、ウエアやランニングパック等の準備をする。先日田畑に積もったなごり雪はだいぶ解けているが、サングラスはしておこう。

コントロール位置説明

参加賞はトレインカードや水PET、あと競技中の利用が認められている上高地線の時刻表もあるが、乗る可能性のある列車の時刻は頭に叩き込んである。参加者総勢150名という盛況な会場で開会式、そして緊張の地図配布タイム。凍結だか倒木だかで通行止め箇所があるのと、西南のトレイルは雪ズボズボで「全くお勧めできない」との競技説明を受けつつ、短時間で作戦を練る。いや、おおまかな戦略は既に決まっていた。走力に劣る私が勝つには、上高地線を有効に活用する奇策しかない。アップダウンの激しい北西の扇状地エリアは捨て、北東の市街地エリアに急行。そのあと南を周ってから電車に乗るんだ。ルート取りが「の」の字になるイメージなので、けものフレンズ作戦と命名。向きは違うけど。

スタート直前

でも後半が上手く繋がりそうにない。ここは必殺「高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する!」作戦(要するに、行き当たりばったりと言うことではないかな)。全員集合写真のあと、正午に一斉スタート。5時間という長い制限時間の中でコントロールポイントの選択は自由なので、各チームが方方に散ってゆく。自分は北東方面の先頭を切ってまず【農業用水分水地点[82点]】から、通過証明となるデジカメ写真を「コントロール位置説明」と同じ構図で撮っていく。今回はいつものデジカメが修理中なので安物のスマホで代用している。防水で安心だが、画質は悪い。

河岸段丘を降りたら、梓川沿いのなだらかな地形を利用するように【松香寮キャンプ場[83点]】【煮干しラーメン燕黒[63点]】【EH酒造[102点]】と繋いで順調に梓橋まで下りる。涼風が気持ち良く、花粉もそんなに飛んでないように感じる。まだ1時間だが早くも脚が痛いのでペースを落ち着かせよう。ちょくちょくミスはあったが3万分の1スケールという特殊な地図にはようやく慣れてきたかな。【のんべえ食堂天火[43点]】はプランナーのKaさんらしいコントロール。平行するJR大糸線も利用OKだが合う便がないのは調査済み。

城山公園アルプス展望台

新橋で奈良井川を東へ渡り城山公園へ。地図では登るトレイルが3本書かれているが、うち2本って通行できたようなできなかったような…。遠回りだが確実な一番北のトレイルを行くが、これが吉と出るか凶と出るか。螺旋階段を登って【城山公園アルプス展望台[81点]】からの景色はバツグンだが、眺める暇はない。近い道より速い道を使って蟻ケ崎の【アトリエブレ[104点]】は最遠コントロールだが自宅の超近所。今度ここで菓子を買ってみよう。

松本城(埋の橋)

この辺は正直地図が要らない地帯で「信号を読む」ことに集中できる。落ち着いてパワージェルを摂りつつ南下し【松本城[77点]】、国道19号を渡るのを嫌って渚の32点はスルーしつつ【鎌田北向観音堂[80点]】。おやきで有名な【文岳堂書店[36点]】あたりで2時間経過。走行ペースが鈍っているのを感じながらさらに南下し【すし処泰[60点]】【文具のひろばあすなろ[39点]】。奈良井川の西に戻って【アジャリカフェ[103点]】、これはチーム阿闍梨を意識したコントロールだろうか。

メカキチ

このまま予定通り西へ進んでも、コントロール間の距離が長い割に低得点だ。「の」の字がいびつになるが、北の高得点【浅田宗伯先生の碑[101点]】へ繋ぐ。浅田飴の創始者らしい。ここから電車の時刻を睨みつつ線路沿いを西へ進めば安全確実だろう。国道158をくぐる地下道内【ポスター「きれいな島立」[87点]】と【旧松本区裁判所庁舎[35点]】は至近でおトク。3時間が経ちカフェイン入りカーボショッツを補給。この為に数日カフェイン絶ちをしていた効果やいかに? 踏切が鳴り出して臨機応変にルートを変えつつ【世界の工具メカキチ[44点]】、へぇこんな店あったんだ。

いよいよ予定の列車時刻が近づいてきて、ここは頑張りどころ。【旧野麦街道の案内板[41点]】を撮っていると、じいさんが何で皆これを撮っていくのかと不思議そうにしていたので、軽く説明をしておく。時刻5分前に新村駅に到着。トイレに寄りたいし構内踏切があることを考えるとぎりぎりのタイミングだった。ここまではソロならではの“独走性”が活きた形。この先も自走した方が高得点が狙えそうな気がするが、間に合わせる為に必死だったし既に40km走行、心が折れている。15時40分出発進行、車内でスポーツようかんを食いつつ脚休め。ここから西への上り勾配を電車に任せられるのがポイントだ。

波田をひとつ過ぎて渕東駅で下車。鉄道まつりやロゲで乗客が多かった影響で予定の15時54分から2分遅れたが想定内。いよいよ残り1時間、四年前に攻略できなかった南西の山エリアに突入する。凍結通行止をクッソ真面目に迂回しつつ河岸段丘を登り【若返り地蔵尊[74点]】を撮ってから林道に入ると、もうひんやりした空気。競技説明で「全くお薦めできない」と言われてた通り、登り坂が雪でズボズボ。クルマの轍がなくなるとさらに状況は悪化し、パワーランニングで何とかゆっくり進む。早く着けっ!…もう呼吸が苦しく、歩くに近いペースがもどかしい。

若沢寺

若沢寺(にゃくたくじ)史跡へ標識は充実しているのだが、ここで手前側の入口を通り過ぎてしまう痛恨のミス! 「お前、行き過ぎだぞ」と諭してくれるチームメイトが居れば、どんなに良かったことか。2つ?あったはずの足跡が無くなっておかしいなあと思いつつ、奥の入口から遺跡の最上段まで無駄に登ってしまった。転びつつ最下段まで落ちてコントロール【若沢寺護摩堂跡[150点]】は発見できたが、時間と体力のロスが大きく、これでは入賞すら出来ないと顔が青ざめる。

気を取り直して雪トレイルを東に進み、標高950mの鞍部【みはらし台[33点]】を越えたら少しでも遅れを取り戻すべく、ボブスレーが滑るように駆け下りていく。トレランシューズがバシャバシャ水浸しになるし、このエリアを最後にして良かった。少し南へ回って唐沢そば集落の高得点【石碾き蕎麦水車本店[151点]】はゲット出来たが、いよいよ残り時間が少ないし、脚も疲れ切っている。諏訪神社47点は諦め【上手緑化[64点]】を撮る。古畑動物病院31点はさほど遠回りじゃないが、遅刻は厳禁と心得えフィニッシュへ一目散。タイムは4時間57分31秒、危ない危ない。ああ悔しいなあ、タラレバを考えたらキリが無い。でも目一杯に駆けずり回ることが出来たし、これなら勝ち負けになるだろうという安心感もある。トン汁やおにぎりのふるまいが疲れ切った身体に染み渡る。

表彰式の様子

自己採点してみると23箇所1733点。四年前に比べてコントロール数は減ったが得点では上回った。阿闍梨さんには遠く及ばない。参加者同士によるクロスチェックを経て採点表を提出し、集計を待つ。地図に辿ったルートに蛍光ペンを引いておくと、後で話のネタに出来る。やがて表彰式が始まり、男女混合チームは1500点前後で接戦という意外なハイレベルさに驚きのどよめきが起こる。男子チームはやはりB府さんのチーム「平和荘」が1561点で圧勝。最後に男子ソロの発表となり、2位T山さん1677点。その差56点、薄氷ながら私が1位に立った。スゴイスゴイと囃されつつ賞状を受け取りにいくのが嬉し恥ずかし。悲願の全カテゴリトップ得点も達成、結果オーライである。副賞の波田名産品も漬物や凍りもちなど豪華で嬉しい。

交流会は参加せず、帰りの電車へ。ぼっち参加だと誰とも話さないことが多いが、車内で混合1位チーム「やまげん」さんと居合わせ、戦略談義していて退屈しなかった。やはり蛍光ペンは役に立つ。夕食は松本駅のモスバーガーでチキンも付け、さらにコンビニスイーツを買いつつ帰宅。いろいろネガティブなことも考えがちな日々だけど、今日くらいはいい気分で居させてくれや。

走行距離40.0km+9.5km、積算標高差470mほど。翌日は、まるで初めてフルマラソンを走った後のように全身筋肉痛でろくに動けなくなった。改めて地図を見直すと、とうてい完璧とは言い難いルート取りで、お山の大将感半端ない。この反省を活かして、いつかまた存分に戦いたい。とりあえず自分褒美に、地球儀「ほぼ日のアースボール」を買おう。

結果

走行マップ
公式リザルト
総合点 1733/3000 (最多点1733, 最少点-708)
コントロール数 23/43 (最多24, 最少2)
男子ソロの部 順位 1位 (/出場13名/申込13名中)
総合順位
(各種チーム,女子含)
1位 (/出場69組/申込70組中)
(人数は出場151名/申込152名)
※詳細は公式のリザルトページにて。

リンク

後日郵送された表彰状
中村良大Facebook: 上高地線ロゲイニング写真
通過した全コントロール証明などの写真アルバム。
松本ロゲイニング公式サイト内/上高地線ロゲイニング
大会概要の他、競技結果や写真集も。
松本ロゲイニング公式サイト
次大会の募集要項、過去大会の様子など。
Navigation Games 2018
日本オリエンテーリング協会が選んだロゲイニングのシリーズ戦。
フォトロゲイニング公式サイト
ルール説明や大会紹介など。

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