むらよし旅日記・其の十六:中部北陸、夏盛り

『サイクリング部全体合宿』かち割り中部

7月31日〜8月6日

7月31日(木)ついに晴れての全体合宿入り

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防砂林の中、朝日を受けて
 ついに空が晴れた! 何だか列車に乗ってしまうのが勿体ないぐらい。ともかくJRで水橋駅から石川県の金沢駅まで輪行。今日は夕方まで自由行動ということにし、私は予定通り金沢駅で友人Nと落ち合った。彼は中学高校時代の親友で、今は金沢大学に通っている。まずはアパートの洗濯機を借り、干している間に、自転車で金沢大学や兼六園を案内してもらう。実に便利である。いろいろ世話になって、最後も金沢ユースホステル(以下YH)までの長い登り坂も案内してもらった。ありがとう。
 ここから総勢30名近いサイクリング部全体合宿が始まる。班合宿でさんざん苦しんだ後に、こうしてベットで眠れるぜいたくさを味わうのもひとつの醍醐味であるかな。

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8月1日(金)夏バテ開始

 一昨日までとは打って変わって猛暑のラン。緩い坂を登り下りして、富山県に入る頃にはかなりのダルさを感じた。夏バテだ。班合宿の疲れと、スイカで腹おかしくしたのも手伝ってる。やばい、全体合宿乗り切れるか?
 全体合宿は、一日ごとに参加者をいくつかの班に“ある程度ランダムに”分けて、班ごとに団体行動をとる仕組になっている。さて今日の班には「ツーリングは始めて」という競技系員もいるので、ツーリング中特有の昼食を教えてみた。食パンにレタスや具を挟むやつだ。もちろんフルーチェも塗る。城端町のおもしろ水車群を眺めながら、なかなか楽しんでいた。
 死にそうなダルさを押して五箇山トンネル入り口まで登り着き、その長いトンネルを越えると、そこは合掌の里。合掌造りという雪に強い独特の民家群が、今は観光資源として旅人を迎える。でも何かイメージよりちゃっちいな。
 今夜は越中五箇山YH。どういうわけかYHは坂の上にあることが多く、それを通称「ユース坂」と言う。ここも例外ではなく、最後のひと踏ん張りで何とか登り切る。ここのYHは合掌造り、これは嬉しい。食事も意外に豪華で美味しかった。

8月2日(土)日本の原風景

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世界遺産の白川郷
 今日は緩い登り“飛騨合掌ライン→白川街道”でひたすら南下する。出発して程なく、庄川を渡る橋に何やらボタンがいくつか。どうやら橋の歩道が“民謡歩道”となっていて、ボタンを押すと良く意味の分からない民謡が長々と流れる。班員の一人がえらく気に入っていた。
 競技系2人が先頭をひっぱっているので、ハイペースに岐阜県白川村、通称『白川郷』に着いた。おお、ここの合掌集落は各民家の大きさ、数も見事である。高台から眺めると、ため息が出るような日本の原風景が広がる。昼食は集落内の小公園で、今日もフルーチェパン。
 午後もハイペースでゆるい坂を登っていく。お〜いおいてかないでくれ、おじさん疲れてるんだよお。巨大な御母衣ダムも横目に、やがてひるがの高原に到着。ここには分水嶺公園なるものがあって、ここで湧いた水は二手に分かれ、片や日本海片や太平洋に流れていく仕組になっているのが面白い。今夜の宿はキャンプ場のバンガローで。何かガキがいっぱいいて、風呂マナー悪いしその母親達のランドリーでの態度も悪く、これが愚痴らずにいられるか!

8月3日(日)老後の候補地

 北東へ向かって二つの緩い峠を越えると、そこは飛騨の小京都高山。高山駅前の喫茶店で一休み。私はホットコーヒーを注文、ああ久々の本格コーヒーで幸せ。駅前ではまた他大学のサイクリストに会い、情報を交す。
 お楽しみの昼食は、行列もある『豆天狗』のラーメン。細くちぢれた麺がうまかった。あとは高山観光。“古い街並”はしかし観光客が多すぎて、雰囲気を楽しむどころではない。
 ひだ高山天照寺YHに到着したあとは個人行動が取れたので、まず再び街をポタリング(自転車で散歩)してみた。コーヒーの美味しそうな喫茶店がたくさんあるぞ。私の旅は老後の居住地選定の旅でもあるのだが、この高山もいいかなと思った。さらに高台の城跡にも足を運ぶと、一ヵ所展望良好! やはり観光客にもまれるより、一人でゆっくり景色を楽しむのがよい。
 夜はみんなで手持ち花火。私はどうも今回の旅は現実から逃避し切れずに、内なる絶望を引きずりっぱなしだ。何か、あるのか?

8月4日(月)水遊びと牌遊び

 “飛騨せせらぎ街道”、程よいカーブと程よい登り勾配を南下する。西ウレ峠を越えると今度は程よい下り勾配。昼前には少し大きめの道の駅に着いて、ラベンダーソフト、肉うどん、ラベンダーカステラを買い食い。その後、河原で長々と遊ぶ夏合宿風景。冷たい川の流れが気持ちいいのだ。
 そして今夜は日本三名泉のひとつ、下呂温泉の民宿泊り。ひとつ外湯に入ったが、飛騨川を望む湯舟といい肌つるつるの湯といいグッドだ。民宿では雀キチ仲間で麻雀卓を借り込み、囲む。さらに温泉宿といえば卓球。これもどんどん白熱し、風呂後というのに汗だくになってしまった。こんなことしてるから旅の疲れが癒えないんだ。

8月5日(火)初めてのオクラホマミキサー

 班合宿までは朝5時ごろに起きていたが、全体合宿に入ると夜更かしもするので、起床がどんどん遅くなる。朝7時の食事にあわてて起きるのがあたり前の光景となるのだ。今朝もそんな感じでつらい朝。おまけに雨まで降っている。西に向かって走っているうちにさらに大粒の雨になって、コンビニガッパを脱いでいた私は風邪をひきそうになった。昼食後にはサンパークランド鍾乳洞。立派な鍾乳洞を体験した。
 郡上八幡町域に入り、今夜の宿は“レインボー”というオートキャンプ場のバンガロー。遠くから見ると、バンガローがチープなペンキで七色に塗り分けられており「おおレインボーだ!」…。
 今夜は明日のペアラン決め。全体合宿の最終日は班行動ではなくペア行動となるのだ。今回はフォークダンスをやって、曲の最後に手を組んだ人が“運命の人”だと発表された。私は「もし鉄道マニアK君に当たったらローカル線の終着駅を見に行こう」とおぼろけに計画を立てていたが、内心では女の子に当たることをドキドキ願いつつフォークダンススタート! 果たしてオクラホマミキサーが鳴り終った時、手を組んでいたのは鉄道マニアK君であった。私はその場に倒れ込んだ・・・。
 そのあと自分のバンガローに戻った私は、ウクレレをかき鳴らし3人ほど集めて爆唱していた。

8月6日(水)ローカル旅情

 朝の出発、大雨が降っていたので「越美北線(九頭竜線)と越美南線(長良川鉄道)をつなぐ夢を俺達が実現するんだ」というマニアックな爆走案は廃止となり、すなわち“水の街”郡上八幡をまずはゆっくり観光することにした。すると雨はピタリと止んでくれた。
 この街にある通称『飛び降り橋』。何でも街の子供たちが、夏になると勇気試しでそこから下の濁流に身を投じるという。私も勇気を試さねば、と思っていたのだが、とある新聞には「高さ60m」と書かれてあって、実は合宿前から怖れおののいていた。しかし実際その橋に行って見ると、高さ12m。・・・60mというのは誤報であった。なぁーんだ、これ位なら大丈夫だよ・・・。でも今日は寒いのでやめておこう。
 あとは昨日の計画通り、長良川鉄道の終着駅『北濃』を目指して、K君にハイペースで引っぱってもらう。私が疲れで泡を吹きそうになるころ、北濃駅に到着。山国の終着駅の風情、たまらない雰囲気である。ここの駅舎はラーメン屋になっており、昼食として頂いたがなかなか旨かった。
 そして輪行、おそらく生まれて初めて“1両編成”の列車に乗る。かなりボロい。衝撃を受けたのは次の駅、客がいないと見るや運転手は駅に一時停止させることもなく通過させてしまった。すごい・・・。ともかくこういったローカル線を終点から終点まで乗れるのは、レアで嬉しいことだ。
 そのもう一方の終点、美濃太田駅を中心とする美濃加茂市にある旅館が、全体合宿の最終宿。夜には大コンパ、何やら私は酒飲んで荒れていたらしいが、覚えてないことにしよう…。


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