まだ見ぬ信州へ
かくして合宿は終ったが、そのまま今度は独り、後ランとして旅は続く。8月18日からは自分の所属するもうひとつのサークル『ギター・マンドリン部』の夏合宿が長野県北部の戸狩で行われるので、自転車で合流することにしてある。それまでの12日間、まさに自由に中部地方を駆け巡ることができるのだ。私はツーリングする場所として北海道よりも信州(長野県)の方が好きだ。そして今回の旅の目標は、信州のまだ行っていない地方を巡り、信州の主な土地を自転車で制覇してしまおうというもの。しかる後に、東日本でただひとつ未制覇の山形県へ向かうつもりだ。さて大コンパの翌朝・・・
8月7日(木)下呂温泉でひと休み
昨夜荒れてはいたが、飲んだ量は大したことなかったらしく、ゆっくりとした目覚めを迎えた。合宿の仲間達は、つくばへ帰る者、実家へ帰る者、後ランをするもの、それぞれ次々と宿を去ってゆく。寂しくなる。私も発つとしよう。
後ランはまず下呂まで輪行。たまたま同輩Wが明日まで同一旅程らしいので、それまで行動を共にすることにした。下呂温泉に入り、昨日までのヘビィな疲れを落すべくゆっくりさせてもらう。
そこから少し走った所の、夏休み中の小学校にテントを張り今日はここまで。明日からまたつらいランになりそうだが、今日これだけ休んだので大丈夫だろう。Wには親子丼の作り方を教えてもらった。
8月8日(金)ロングダートを越えて
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8月9日(土)目をつむれば御岳
雨が降ったり止んだりの朝。適当なタイミングでWと別れ、出発。ちなみに彼は近くのダートをさらにアタックするらしい。ついに私も完全に独り旅。気がねなくスローペースでまず北へ。そして御岳明神温泉に入り、その露天風呂で晴天を待つ。そうすれば御岳がパァッと姿を現わすはずだ。しかしいくら待てど奇蹟は起こらず、諦めてまた走りだした。針路を南東にとる。地蔵峠からも御岳は見えず残念。また来るか・・・。
やがて木曽福島町に下り、今夜設営するべき小学校を発見。とりあえず荷物を置いて、10キロ程南の『寝覚の床』へ。まあいわゆる奇岩だな。雨続きのせいか川の流れはさほどきれいでもなかった。そういえば昼食はカロリーメイト1箱だけだったのでハンガーノック気味。ここで信州の味、五平餅を買い食いする。あとは木曽福島に戻ってレトルトカレー食って寝た。夜の学校にひとりってのは実は怖いな。
8月10日(日)中央アルプスをこえて・血のふるさと
それはまだ朝の4時前だった。いきなり小学校にパトカーがやってきて、マッポが私をゆり起こした。「不良がここで大騒ぎをしているとの通報を受けたが(君は被害を受けなかったか?)」・・・そんな記憶ねえよ。結局なぜか私が職務質問を受ける羽目に。こういう時、筑波大学の学生証は大変役に立つ。それだけである程度の信用を得られるからだ(多分)。マッポは帰り、もうひと眠り。すると今度はテントの外で変な音楽が鳴り出した。「現われたな不良どもめ!」と思って外を見たら、実はババアどもの変なラジオ体操だった。今後小学校には泊らないほうがいいかも知れないな。
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8月11日(月)悩みのない日
朝、見せてもらったのは川中島合戦における武田信玄からの感謝状(の写し)。どうやら先祖は武田信玄に仕えていたらしい。さてコウヘイじいさんからは米なども頂き、感謝して伊那を出発させてもらった。
まっすぐ北に向かうと伊那谷と松本平の分水嶺、善知鳥(うとう)峠。次は東に向かい塩尻峠。ここから諏訪湖の眺めがよい。天気は良くなってきて、それに反比例するように食欲はなくなる。暑さは大敵、何だかたるいので今日は諏訪市まで。
もちろんここは上諏訪温泉、今回はデパート5階にある風呂へ入る。展望はないが、他に客がいなかったので贅沢な気分を味わった。テントは去年のGWに泊り損ねた高島城跡公園に設営。
今日は一日全く雨に悩まされなかった。今回の旅では初めてであろう。
8月12日(火)麦草を麦草(ばくそう)いや爆走
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8月13日(水)計画変更
もともと今日は温泉巡りでもしようかと考えていた。とりあえず海野宿(うんのじゅく)という古い街並でかき氷を食べる。ああかき氷がこんなにうまいものだったなんて。そうして休んでいるうちに気が変わり、青春18きっぷで輪行をすることにした。こうした大幅な計画変更も個人ランならでは。
上田市の大屋駅から輪行先は上松駅。4日前に寄った『寝覚の床』のある所だ。明日はそこから南に向かえばよかろう。設営はまた小学校で。