background: 3/12撮影『四国カルスト五段城』
3月10日(水)(続き)山楽班合宿編
伊予西条駅に戻ると、班合宿のメンバーG藤(S子)とO宮が丁度、つくばからの長い輪行を終えて自転車を組み立てているところだった。今回、私はついに所属のキャンピング班を離れ、同サイクリング部内の山楽班合宿に参加することにしたのだ。本当はもっと早く各班の合宿に参加していきたかったのだが、最後の機会にようやくの実現となった。各班の交流がもっと盛んになるといいなと思う。
近くの銭湯のような湯之谷温泉につかり、隣町の小松町にある中央公園でキャンプ開始。“合宿”とはいえメンツは3人。おとなしくて寂しい気もするが、大勢でつるむのが苦手な私にとっては、これぐらいが好きだ。
マーボナストウフを食べて、テントは滑り台ドームの中に張る。四国の名山・石鎚山は雪をかぶっていて立派な山容を見せてくれたが、里は昨日までの日本海側に比べれば暖かい。天気はやや晴れ。このまま続くといいな。
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3月11日(木)シュバルツバルト峠
朝方の雨は止み、曇り空。西に向かう国道11号は桜三里街道とも言うが、まだ桜のシーズンではない。トラックが多くて「もーやだ」って感じ。左に曲って国道494号に入ると、自動車はほとんど来ず、いー感じ。しかも、前ランで細かいアップダウンの連続ばかりだった私にとっても、初めての長〜い登り。これぞ生きていることの実感とばかりに、足はだんだん調子を上げてゆく。
しかし飛ばし過ぎた。唐岬(からかい)の滝への遊歩道入口で自転車を降り、他2人を待ちながら、フロントバッグに携帯している陶器製のオカリナを吹いてみる。聴いているのは草木たちだけである。やがて連中も追い付き、ここで昼飯。
食後、遊歩道を下りて滝を見に行く。O宮は自慢のMTBでダートの遊歩道を下りていった。それも楽しそうだが、私のランドナーでは出来ない芸当だ。滝はそこそこ。
国道に戻り、少し登り足して、黒森峠へ。くろもりと言えば、自転車の代表的なフレーム素材クロムモリブデン(CrMo)だ。「強くてしなやか!」…。寒いのでとっととパス。
長い下り坂も心地よい。道は狭いけど、ペダリングもブレーキングも要らない丁度いい斜度だからだ。古岩屋温泉に寄って、美川村へ。河原に大きな『御三戸岩』がある。「おんさんのへいわ」ではなく「みみどいわ」と読むそうだ。しかしアテにしていたキャンプ場が営業しておらず、設営地をどこにするかで大いに迷った。とりあえず河原でカレーを作ることにした。
メンバーはK井「お嬢」が合流して4人になった。ようやく合宿らしくなった気がする。テントは、まるでほこらのようなバス停の中に、勝手に張らせてもらった。
3月12日(木)カレンのスカイライン
けたたましいサイレン! 空襲警報か! 攻めて来るのはアメ公かロ公かはたまた“北”か!? …いや、これがこの村の、朝を告げるサイレンらしい。急いでテントを撤収。やがて攻めて来たのは、朝イチのおんぼろバスだった。
そこそこ晴れている。今日も長〜〜い上り坂。登り甲斐がある。O宮とレース状態に突入したが、まだまだ一年生には負けないぞ。恐れていた積雪も、道脇にちょびっとあるぐらいで、やがて地芳峠に着いた。ここで昼休み。
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夕食後、班合宿最後の夜ということで小コンパに。G藤が人生に対する意志の強さをうかがわせたり、O宮やK井もいい事を言ったり。これが今の山楽班の雰囲気。いいな。
女の子2人がテントに入っても、私が持ってきたウクレレを片手に、O宮とブルーハーツの名曲の数々を歌う。こいつは安達哲のファンだったり、その他あまり大っぴらに出来ないような細かい趣味まで、私と共通点が多い。だから話も合う。ウクレレを置いた後も、眠ることを拒むように長々と語り合っていた……。
3月13日(金)どこへ行ってもだんご3兄弟
みんな、遅い起床だった。雨模様。出発もやや遅れ、国道197号を東に向かう。布施ケ坂は長い下り坂。斜度が厳しく、雨ゆえにブレーキの消耗が激しい。
須崎市に入り、中心街のスーパーに寄る。前ランの時からそうだったが、どこのスーパーにもだんご売り場が特設されていて、ひたすら『だんご3兄弟』がかかっている。何でも相当なブームが到来するらしいとのこと。本当だろうか。ぼちぼちメロディーも耳に焼き付いてきた。
もう少し走ったところで、サイクリング部全体合宿初日の民宿に到着した。おつかれさま。まだ宿には入れないみたいなので、近くの軒下で昼パンを食う。ここで、他班からの参加者ということで山楽班合宿の感想を求められた。「え…、いや、楽しかったしいいコースだったし…。」 この時は言わなかったが、みんなにそれなりに溶け込めた(ような気がする)のが、安心であった。もちろん事故や怪我人がなかったのがなによりである。ちなみに、少なくとも頭数合わせの役には立った私の存在は、それなりに感謝してもらえたようだ(?)。残飯処理(棄てずに喰うこと)も毎回してたし…。
3人は、余った時間で近くの温泉施設へ行く。しかし私は、愛媛県を走った道を、過去に走った道に接続する、という野望があるため、急いで高知市へ向かった。全体合宿に参加しないO宮とは長い別れになるのが寂しい。雨は止み、時々宿に向かう他班の連中ともすれ違いつつ、太平洋沿いをダッシュする。
高知市桂浜着。これでつくばから愛媛県への道が(海路はあるが)つながり、いよいよ残りは南九州からの3県となった。しかしここまでの無理がたたって、ヒザが故障気味である。そんな足をかばいながら坂本竜馬の像を見に行くと、T木先輩が登場。彼と先頭交代をしながら、民宿へ引き返す。ハイペースで苦しかったが、なんとか規定時間の午後五時までには到着したのだった。