むらよし旅日記・其の二十:近畿・中国地方マイペースラン

『2nd Stage:キャンピング班合宿』さらに奈良の山奥へ

3月9日〜3月12日
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3月9日(月)(続き)さらに奈良の山奥へ

 奈良県五條市に集まった班合宿のメンバーは7人。昼食として五條名物・柿の葉ずしも食べてから、出発。奈良県南部の山間部に向かう。
 かつてここ五條から、紀伊山地を越えた遥か南の新宮まで、鉄道を通す計画があった。幻の国鉄『五新線』である。こんな山奥、当然採算が見込める訳もなく、敷設工事は途中で終ってしまった。現在ではその跡がバス専用路になっている。我々はそれを眺めながら、脇の国道を走る。
 程なく西吉野村に着いた。地元のオッサンが、ここは某たけし映画の舞台となったんだと、誇らしげに語っていた。我々はここで進路を東に変え、いくらか谷筋を登った後、長いトンネルを抜けた。天川村だ。つい『…殺人事件』と連想してしまう。
 今日は日に焼ける位のいい天気が続き、夕刻、洞川(どろがわ)という所にあるキャンプ場に到着。しかしここは寒い! 雪化粧の山が見えるし、道端にもまだ雪が残っているではないか。とにかく近くの温泉で体を暖めなおした。初日の夕食はカレー。こうしてひとの集まりに加われる機会を持っていることに有難みを感じた。

3月10日(火)紅天女の里

 朝の水はとびっきり冷たい。今日も天気は良さそうだ。

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広橋梅林で梅の木のポォズ
 まずは北に向かう。杉林を抜けると、そこは広橋梅林。実は私、ツーリング前に漫画『ガラスの仮面』を読みふけっていたので、その舞台である吉野の梅林には是非、寄っておきたかったのだ。期待通りに梅の花は咲き誇っており、思わず梅の木のポーズをとる我々。『ガラスの仮面』読者、実は多い。
 そして吉野山へ。展望の良い観光食堂で昼食を取ったが、まだ桜の時ではない。いそいそと山を下り、東へ向かう。
 今日は早めに東吉野村にあるキャンプ場に到着。それにしてもここらへんのキャンプ場は値段が高い。しかし班合宿中は円滑運営のため、キャンプ場に頼らざるを得ないことが多いのだ。
 時間があるので、M田先輩が薪で御飯を炊く挑戦をしていた。なかなかまともに火が付かない様子を見て、私は絶対無理だろうと思った。しかし彼は諦めずに努力し、事を成し遂げてしまった。自分に欠けているのはこういう不屈の精神なんだろう。感服。

3月11日(水)雪中行軍・春の陣

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足之郷越峠にて、寒いっ
 雨が降り出した中、まっすぐ南の林道へ。7km700mアップというキツい坂を登る。道端の残雪には熊の足跡を発見、ビビりまくり。峠が近くなると道路にも雪が積もっていて、ついには自転車に乗ったままでは登れなくなった。押して歩く。
 そんな足之郷越を越えて、国道に復帰。上北山村の道の駅に寄ると、吉野の深い山の中「ここは日本一降水量が多い村です」と書いてある。なるほど今日も例に漏れず、どしゃ降りである。
 下北山村に入り、威圧的なダムの下にあるキャンプ場に設営。何だか崩れてきそうで怖い? 明日正式に合流する山楽班も、ここでキャンプをしている。我々も近くの温泉に入り、夕食の後、恒例の小コンパをやって、寝た。

3月12日(木)自転車のバケツリレー

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備後川林道・無名の滝
 ヒザ痛が限界に近いが、頑張ってキャンピング班について行くことにした。まず池原貯水池沿いのマイナー国道。晴れているし、ヤケに爽やか! そして林道に入り、ダートになる。すると轟音が近づいてきた。大きな滝だ! 名前がどこにも記されていないのが不思議な位、立派な滝だった。
 さらに崩れ気味のちょっと危険なダートを進み、昼飯はしょーがなく携帯カロリーメイトで済ませて、峠の真っ暗な素掘りトンネルを越えた。しかしそこでは崖崩れの復旧工事をやっていた。ガーン、こりゃだめだ、絶対通れないだろう。
 しかし諦めなかったのがT中先輩である。崖側にわずかに人が歩けるかもしれない幅の道が残っているので、そこに7人を配置し、分解した自転車をバケツリレーで運ぼうというのだ。工事のオッサンを強引に言いくるめて通行を許可してもらい、ついに我々は崖崩れを突破した。自分に欠けているのはこういう不屈の精神なんだろう。感服。
 そして三重県、熊野市の太平洋岸へ。日本海側から出発した私にとっては感慨深さもひとしおである。奇岩の鬼ヶ城に寄ってから、サイクリング部全体合宿初日の宿であるユースホステルに到着。奈良の山深さを体感した、なかなか激しい班合宿であった。


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