「祖国を戦火から守るための

        緊急平和アピール」




 3月20日にアメリカの先制攻撃で始まったイラク戦争は4月11日現在、フセイン政権の崩壊という形で、米英軍は軍事的・政治的に勝利を得て終結に向かいつつあるようです。複雑な宗教的・民族的対立のあるイラクの政情の安定と民主政治の定着にはまだ難題が山積していると思われますが、アメリカ・ブッシュの関心は、次の問題に移っていくのでしょう。
 その次の問題とは、シリアとも言われイランとも言われていますが、わたくしたち日本人にとって懸念されるのは正直言ってやはり北朝鮮問題でしょう。アメリカ・ブッシュがいつ北朝鮮に対して今回のイラクのように先制攻撃を仕掛けるのか――。それに対して、金正日総書記がどのような報復攻撃に出るのか。北朝鮮問題の専門家のみならず多くの国民の間に広がりつつある不安――ミサイルを東京に撃ち込む・東京がミサイル攻撃に襲われる――が現実のものとなるのでしょうか……。
 考えるのもおぞましいのですが、もし実際にそのような衝撃的な事態に立ち至った場合、日本はどのような対処を行うべきでしょうか? 或いはどのような対処を行ってはならないのでしょうか?

 イラク戦争に於いてそうであったように、やはりここでも、戦後左翼や戦後護憲平和主義派の立場からの「絶対平和主義」思想による「アメリカ批判・戦争反対」の声と、保守派の立場からの「現実主義」思想による「アメリカ支持・戦争容認・日本の報復攻撃容認」の声という<二極構造>の衝突が起こるものと思われます。
 そうして今回のイラク戦争に於いてもそうであったように、結局この<二極構造>の対立はお互いに己の主張を一方的に声高に叫びたて、激しい言葉で応酬し合うだけで、思想の純化も深化も得られず、不毛の論争に終始してしまう恐れがあります。そして、特にこの点が重要なのですが、事は、不毛の論争の間にも、現政府によって、極めて憂慮されるべき事態へと展開されていくことになるでしょう。

 その意味では、アメリカ批判・戦争反対を唱える「絶対平和主義」は、こんにちでは過去の長い時代に亘って果たしてきた<戦争抑止の効力>を失ったと言わざるを得ないのかもしれません。これは現実をみて言えることだと思うのですが、非武装・非暴力・無抵抗の原則にたつ「絶対平和主義」によるアメリカ批判・戦争反対の叫びは、現実離れした観念的な利敵行為だとして、むしろ<戦争容認論者>たちの反発を買い、依怙地にさせ、彼らに己の判断や感情に確信を抱かせ、反省の念を封じ込める作用さえしているかにみえます。
 また肝心の国民の支持も、イラク戦争では7割から8割の国民が「反対」の意思を示したとはいえ、北朝鮮問題では、最近の世論調査に於いて、軍備の増強を求める声が決して少なくなく、イラク戦争に於ける「反戦の声」が絶対的なものではないことを示していると思われます。
 こうして、懸念される北朝鮮問題に於いては、「絶対平和主義」による<戦争抑止>に期待することは現実的ではないようにわたくしには思われます。
 
 しかし、それでは「アメリカ支持・戦争容認・日本の報復攻撃容認」という保守派の「現実主義」に合理性が存するのかと言えば、強く「否」と言わざるを得ません。最近の川口外相の一連の発言――「日本も多国籍軍に参加すべき」「攻撃を受けた場合、自衛のために相手の基地を報復攻撃をすることは許される」――をみても、戦後日本が厳守してきた数々の禁忌――集団自衛権の行使と先制攻撃と他国領土への攻撃――を破ることが既に今から語られています。一時的・局地的な軍事衝突にとどまらず、「全面戦争」へと突入する危険は極めて大きいと言わなければなりません。
 また国内の「戦時体制」の観点でも、政府与党が今国会での成立を強く求めている「有事関連法案」に於いて明らかなように、「国民総動員態勢」を強いるものとなっています。メディア規制など言論の自由・表現の自由、そして思想の自由さえ失いかねません。一億国民が皆、「祖国防衛」の名のもとに戦争に駆り立てられようとしています。今度のイラク戦争の際にみられたような、アメリカ国内での反戦運動・反政府運動など、日本の場合にはとても考えられないことでしょう。「徴兵制」が敷かれるのも時間の問題かと思われます。
 実際、こんにちの「現実主義者」たち、「保守主義者」たちの意思に任せていたら、日本は外国の侵略から祖国を防衛するだけにとどまらず、日本自身が過剰な防衛行動に出たり、或いはアメリカの先制攻撃に荷担して、文字通り「加害者」の役割を担う恐れさえ存すると言わざるを得ません。保守派による「現実主義」は日本に破滅的な状況をもたらしかねないと、わたくしは真に危惧いたします。

 「二極構造」の実態を冷静に考察するならば、日本の<主権>と<平和>を守るためには、既存のイデオロギーを<超克>する必要があるように思われます。左右のいずれでもない新しい第三の極に立つべきであるとわたくしは考えます。
 まことに僭越ですが、その第三の極こそ、「私の平和主義論」として表明した理念・方法にほかなりません。詳しくはこちらでお読みいただきたいと存じます。
 今までこうした理念・方法が公に語られることがなかったのは、考えてみれば実に不思議です。またマスコミの場などで取り上げてもらえなかったことは、まことに不本意だと言わざるを得ません。
 「二極構造」の不毛の言葉の応酬という実態の中で、今こそ、日本人は、この第三の極を措定すべきではないでしょうか。第三の選択肢として、日本が歩むべき道として、真摯に考察してみるべきではないでしょうか。

 わたくしは、ここに、心からの祈りを抱きながら、次のアピールをいたします。
1.アメリカ政府・ブッシュ大統領に対して、「北朝鮮への武力による先制攻撃を絶対に仕掛けないよう」、強く要望する。
2.日本政府・小泉首相に対して、「アメリカの北朝鮮に対する先制攻撃を支援する如何なる政策もとらないこと、そして平和裡での解決に日本が全力を尽くすこと」を、強く要望する。
3.日本政府・小泉首相に対して、「万が一、北朝鮮からの報復攻撃ないし先制攻撃を受けた場合でも、あくまで<専守防衛>に徹し、それ以上の戦火の拡大を抑止し、早期の和平に向けて、日本が最大限の外交的努力を尽くすこと」を強く要望する。
4.北朝鮮・金正日総書記に対して、「日本の領土への先制攻撃はもちろん、報復攻撃も自制するよう」、強く要望する。


 このメッセージを読んで下さっている皆様へ――

 非武装・非暴力・無抵抗の原則にたつ「絶対平和主義」に<全面的に同意する>ことはできないものの、北朝鮮を敵として先制攻撃を仕掛けるアメリカの同盟国としてかつてない戦争協力を計る国策――日本の参戦――を容認するわけにもいかぬ――こう考えておられる皆様の声をぜひお寄せ戴きたいと存じます。
 北朝鮮の<脅威>の存在は認め、「専守防衛」に徹する限りの防衛力の必要性を認めるものの、安易に武力解決を求めることなく、徹底した平和外交・民間交流の推進による解決を計ることを求めるべきだとお考えの方は、ぜひ、もう一つの反戦平和のプロジェクトにどうぞご参加くださいませ。
  
 わたくしは、この皆様の声をひとつひとつ結集させていき、マスコミに於ける報道や議論の場に於いて、「絶対平和主義」ならぬ「平和主義」の立場からの「反戦平和」の声が取り上げられるようになることを、強く希望しております。
 そうして、この「平和主義」からの反戦平和の「民意」を国民的コンセンサスとして成就させ、日本政府に先の要望を拒否し得ぬ現実的な「力」を生み出したいと切に望んでおります。
 日本を、<核攻撃>から守るために、また日本が<戦場>となることを回避するために、そして日本が再び他国民の命を奪うことを防ぐために、ひとりでも多くのご賛同が戴けますよう、心よりお願い申し上げます。
                         2003年4月11日(金)
                                津吹 純平

                            


「祖国を戦火から守るための緊急平和アピール」

呼びかけ人
 津吹 純平(57歳・県立農大講師兼ペンション経営:山梨県大泉村) 
 鈴木 麗子(40歳・ペンション経営:山梨県大泉村)

賛同者  *名前をクリックすると、コメントが表示されます
 丸茂 喜一(57歳・前地方議員:山梨県大泉村)
 土方 忠志(53歳・自営業・東京都日野新井市)
 長谷川ひろみ(43歳・フルーティスト・東京都世田谷区)
 


★お願い★
 呼びかけ人に登録して下さる方は、次のフォームにて、必要事項をご記入の上、ご送信くださいませ。
 因みに、呼びかけ人とは、この場合、「祖国を戦火から守るためのプロジェクト」にご参加いただける方です。
 「祖国を戦火から守るためのプロジェクト」とは、ネット上での運動、マスコミへの働きかけ、フォーラムの開催、社会的示威行動(デモや集会や人間の輪やバッジ着装など)といった様々な反戦平和のための実践活動を行うものと致します。

呼びかけ人に署名する


また、主旨に賛同してくださり、署名を公表していただける方は、次のフォームにて、必要事項をご記入の上、ご送信くださいませ。

賛同者に署名する

 最後に――
 これはあくまでもアピールですので、わたくしの思想信条や活動に反対の立場にたたれる方の非難・中傷・攻撃は勿論のこと、ご批判も、この場に於いてはご遠慮いただきます。 今回のわたくしの呼びかけは、議論の提示ではなく、あくまでご賛同いただける方とのプロジェクトの構築が目的です。
 そのような言葉をいただいても、それに対してお応えすることは致しかねます。そうした論争は、それが、祖国の主権と平和を守るための、自省心を宿した理性的な言論であるならば、また別な機会を設けて行う機会もあろうかと存じます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。


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