動物お助け活動について Part 1

我が家の場合

お兄ちゃんと一緒に暮らし始めた頃 (7年前) は、まだパソコンも今ほど普及しておらず、猫についての情報源と言えばありきたりの飼育ハウツー本か、飼っている人から直接話を聞く事くらいしかありませんでした。思えば、まだペットブームやペット産業そのものも、今ほど盛況ではなかったと思います。当時は私がまだ帰国してすぐの無職の時だったので自由になるお金もあまりなく、猫の手帖や猫倶楽部 (現在は休刊中) を本屋で立ち読みしたり、友達から読み終わったこの手の雑誌を譲ってもらったりして、何となく猫に関する情報を得ていました。

その後Windows 95の爆発的な普及と共に我が家にもパソコン (しかもモデム内蔵) を導入しましたが、通信料が高い事などもあってネットへの接続はしていませんでした。しかし、その後転職先の会社でネットに接続できる環境が提供され、当時パソコンを使って作業をするのは私一人であった事から、好きな時にネットに接続できるというとんでもなく好都合な状況になりました。(しかも当時としては画期的だったISDN接続でした。) 元来機械好きな私はこの新しいツールがいたく気に入ってしまい、日に何度となくネットに接続し、検索ソフトを使ってネットからいろいろな情報を引き出せるようになりました。

当然、仕事で使うだけでは飽き足らず、そのうち昼休みなどに猫の情報を検索するようになりました。そして出会ったのがDOMONさんの運営する 「猫とあそぼ!」 のサイトでした。おそらく猫関連のサイトで初めて訪問したのがこのサイトの掲示板だったと思います。DOMONさんは札幌在住の私と同年代 (かな?) の男性で、当時はお仕事もそれほど忙しくなかったのか (自営業をされています)、猫飼い初心者からのいろいろな質問にそれは丁寧に答えて下さって、何て良い人なんだ〜と常々関心しながら毎日勉強のつもりで掲示板をROMしていました。その後、このサイトからリンクしているねこだすけや生全寺などのサイトを訪問するようになり、次第に地域猫活動やその他の動物に関するボランティア活動がある事を知るところとなりました。

それからしばらくしてある夜のこと、1匹の猫が我が家の庭先に現れました。白に薄い茶色のブチがある猫で、その年の春先におかあちゃんが連れていた子猫が成長した姿のようでした。(この時の子猫だとすると、父親は多分をやじ君です。) 普段滅多にこの猫を見かけることは無く、たまに見かけてもすぐにダッシュで逃げてしまうのであまりなじみの無い子だったのですが、その時はなぜか玄関先でうずくまったまま動きません。どうしたのかと灯りの下へ連れて行って見てみると全身に無数の噛まれた傷があり、熱もあるようです。当時、DOMONさんやねこだすけのサイトで傷ついた猫たちの保護活動をされている方がいるのは知っていたものの、いざ自分の目の前に傷ついた猫が現れてみるとどうして良いやら、途方にくれてしまいました。

しかし、そのままにしておくわけにも行きません。そこで、裏の物置から中型のケージを出してきて、その中に一晩入れて様子を見ることにしました。それで翌日具合が良くなれば、放してやればよいと思ったのです。ケージを組立て、その中に古くなった座布団を敷いた段ボールを入れてから猫を入れると、猫はその箱の中でうずくまって眠ってしまいました。翌日になっても猫は具合が悪そうだったため、近くの動物病院に連れて行きました。それからしばらくこの猫はケージの中で生活し、元気になってくるにつれてアンアンというかわいい声で鳴くようになったので、あーちゃんという名前も付けました。

あーちゃんはとても大人しい子でしたが未去勢の男の子だったので、当時ネットで聞きかじった野良猫の不妊手術を自分も決行しようと、病院に連れて行ったついでに去勢手術の予約もしました。ネットで精力的に活動している方たちの姿を見て、自分も地域猫活動のようなものをやってみるチャンスだと思ったのです。そのころまでには自宅でメールができる環境も整っていたので、思い切ってDOMONさんにメールを書いていろいろなアドバイスをいただいたりもしました。しかし、いよいよ明日は去勢手術の日という時になって、DOMONさんからいただいたメールの中にあーちゃんが喧嘩をして噛まれていたことからエイズにかかっている可能性があり、その場合は去勢手術がエイズを発症させるきっかけになる危険性もあるからエイズの検査をして感染していないことを確認してから去勢手術をしたほうが良いのではないかというアドバイスをいただきました。

エイズに感染している子にとって去勢手術がどの程度危険なものなのか、あれから数年たった今でも誰も正確な判断はできないと思いますが、当時は知識と経験の豊富なDOMONさんがそうおっしゃるのだからと、当日になってどうしても行けなくなったからと病院に断りの電話を入れ去勢手術をキャンセルしてしまいました。もちろん去勢手術をするつもりはあったので、1ヶ月待ってエイズの正確な検査結果が出てから様子を見て去勢手術の日程を決めることにしました。もしエイズに感染していなければ、家の中に入れてあげても良いとまで考えていました。しかし保護してから3週間ほど経ったある日、いつになく興奮していたあーちゃんは掃除のために開けたケージのわずかな隙間から突然飛び出して行ったきり、家には寄り付かなくなってしまいました。それからしばらくは、あーちゃんの姿を探して家の周りをうろついてみたりしましたがあーちゃんは見つからず、私の初めての保護活動もどきは結局中途半端な形で終わってしまったのでした。

それから1ヶ月ほどして、心のどこかで寂しいけれど開放感のような安堵感のような複雑なものを感じていたある日、また同じ事件が起こりました。あーちゃんがまたズダボロになって助けを求めて来たのです。今回も全身に噛まれた傷があり、庭にうずくまっていました。私はあーちゃんが帰ってきてくれたことがうれしくて、すぐにケージを用意しました。今度は脱走されないように、細心の注意を払って慎重に世話をしました。ケージを開ける前には手だけ入れてあーちゃんにお兄ちゃんが使っていたリード (胴輪) をかけ、そのリードをケージにしばりつけてからケージの戸を開けて掃除をしたりご飯をあげたりしました。そのうち、中型ケージでは手狭に感じられてきたので、もう少し大型のケージを購入し、きちんとしたトイレも入れてあげました。

そして、ケージで暮らすようになって3週間ほどたち、今度こそ去勢をして我が家の仲間入りをと考えていた矢先、ケージを開けて掃除をしていたところ、しばりつけていたリードが知らないうちにほどけて、あーちゃんはリードをつけたまま走り去ってしまいました。脱走するのは仕方ないにしても、リードをつけたまま走ってはリードがどこかにひっかかって首などつってしまわないかととにかく心配になり、一晩中探しましたがあーちゃんを見つけることはできませんでした。幸い数日後にどうにかしてリードが取れた姿のあーちゃんを目撃したので、一安心しました。こうしてあーちゃんは我が家の一員になることなく、去勢手術もできずに去って行ってしまったのでした。

その後あーちゃんは年に数回その姿を見かけましたが、状況からもわかるとおりあーちゃんはめちゃめちゃ喧嘩に弱いのできちんとご飯も食べられなかったようで、いつ見てもガリガリにやせ細りボロボロの姿でした。(もちろん我が家の敷地内には常にご飯が置いてありましたが、猫の勢力地図の関係からか滅多にご飯を食べにくることはありませんでした。) そのせいか、あまり長生きもできなかったようで、ここ2年ほど姿を見かけていません。今ごろどうしているのかな?

その後、野良猫に餌だけ与えて不妊手術をしないことは無責任でいけないことだと自分自身十分に知っていながら、どうしても手術をするのがかわいそうに思えて、何もしないままおかあちゃんとをやじ君にご飯をあげていました。そのため、季節になると発情による猫の喧嘩やうるさい鳴き声が夜通し周囲に響き渡って、近所のご家庭に迷惑をかけることになりました。(とは言っても、私が猫を飼い始める前から野良猫や外出猫はいたので、それ以前も発情期の猫はうるさかったのですが…。)

発情期には普段見かけない猫も遠征してきてご飯を食べていくので、ご飯の減りがいつにも増して早かったものでした。そして、2000年の春先におかあちゃんにアタックしようと現れたのが亀ちゃんでした。その後仲間たちのコーナーで紹介しているような悲惨な状況に陥ってしまい (亀ちゃんとをやじ君の喧嘩やお兄ちゃんのマーキングなどなど)、結局亀ちゃんとをやじ君を去勢し、おかあちゃんは避妊できませんでしたが保護する事になったのでした。(詳しくはそれぞれ亀ちゃんをやじ君おかあちゃんのページを見てね。)

去勢後は亀ちゃんとをやじ君も仲良くなって一緒にご飯を食べるまでになり、おかあちゃんは夏の間激しい発情を繰り返していましたがケージの中ですから妊娠する危険性もなく、まったく予期せず突然七奈が現れて仲間が増えたことを除けば、新入の無所属猫も増えることなく比較的落ち着いた時を過ごしていました。そして1年ほどたった2001年11月に突然亀ちゃんが行方不明になり、1ヶ月後にはおかあちゃんも亡くなって我が家の周辺は途端に寂しくなってしまいましたが、以降にゃんずの数は増えも減りもせず、最近ではやっとお兄ちゃんのマーキングもおさまりました。

以前は、たまに向かいの家の凶暴な白猫カンがをやじ君に喧嘩をふっかけて襲撃してきたり、をやじ君によく似た茶ブチの猫が庭に侵入して来てをやじ君と喧嘩をして、をやじ君が何度も大怪我をしたことがありましたが、そのをやじ君も今はおかあちゃんの小屋の住人になって外出はできなくなりました。(エイズが陽性なので) あとは七奈の時のように突然どこからともなくにゃんが現れることだけが心配です。どうか、これ以上私の目の前に不幸なにゃんこが現れませんように…。

Part 2 に続く

Last updated: 2003.2.5