WEBを担当致しておりますReiです。

八木先生には学生時代(四年制大学卒業後)大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

当時先生は東京工業大学工学部の教授をしていらっしゃいました。ドイツ語を教えておられましたが、私は苦手なドイツ語のほうではなく宗教哲学・比較思想についての貴重なお話が伺いたく、押しかけました。

 

クリスチャンユニヴァーシティである東京女子大学に在学当時、私は聖歌隊に入隊してバッハやヘンデルなどの優れた宗教音楽に接し、存在の根底から打ち震えるような感銘と心の支えを持ち至福に浸りました。

他方キリスト教の具体的教義に触れる際、上述の音楽芸術のもつ自由・自発的な動機からじつに有機的な展開を織りなしていく、生命体さながらに無窮動な統合的運動性を帯びた柔軟さとは、謂わば相反するような何某かの思考停止・放擲を感じたり、また教えの解釈から生じる差異に何とも云えぬ戸惑いを時折感じては、自問自答しても居りました。

今思えばそれらの多くは─いみじくも八木先生の言葉を借りて言うところの─人格主義的超越と、場所論的超越の位相を混在させた思考、に起因する諸問題であった訳なのでしょうが、ともかくそんな混乱期にあった矢先、偶然先生の書かれたちいさな文庫本に触れ、それまでの惑いが一気に解消され救われる気がしたのを今でもよく覚えております。

同時に、たとえば超越と内在のはざまで迸るリルケのかぐわしい文体・認識様態に、またヴァレリの自我抹消実験などに、つよく惹かれたりするよくありがちな文学少女として、哲学科の講義中“現象学的身体論”などにも接する機会を得、それらに一定の興味を覚えながらも、身体と世界の間の相関関係、主体と超越の相関関係の中で、自己存在というものをどう把捉“し直”すべきか、もうひとつ解りかねていた処、八木先生と仏教者との対談で目にした、宗教(学)的位相からの超越と内在の関係と、そこに於ける自己(人格)の座、そこから降りる自我の座という考えの秩序に感銘を覚えた気がします。

リンク集の東工大の項にも記しましたが、この頃先生は「現代思想」(青土社)や「理想」(理想社)などの雑誌にそうした領野での─と同時に理論の性質上当然のことながらその枠を越えた─興味深い論文をよく発表していらっしゃいました。対談も仏教方面の大家や論客の方々をはじめ精神分析、状況論などの著名な学者・文化人をお相手に多方面にわたり非常に有意義になさっていました。それは今でも全くお変わりないと思います。

八木先生は当時から、日本の中でよりもドイツ・アメリカなど海外での評価、また神学(キリスト教)内部でよりも仏教など他教の、外の世界に対し開かれた態度の論客たちの間で評価が高く、また宗教の枠を越えたいろいろな分野での評価が高くていらしたと存じます。先生はロマンチストな面をお持ちでいらっしゃいますが、その頭脳は非常に明晰で、展開すべき思考の位相を踏み外すということがほんとうに無い方だなというのが、生意気ですが私の率直な感想です。またご自身の宗教学・宗教哲学といった活動分野の外で、知の最前線などと言われる若手の知識人が用いる記号論などの知的ツールも、ご自分の領域に於てもじつに至当な手段として使いこなしてしまう、といった柔軟さもお持ちのように思います。

 

これからもずっとお元気で、宗教はもちろん学問分野の枠を越えたさまざまなご研究と対話をなさっていかれますことを願っております。

 

最後に、私の学生時代からの愛読書のひとつに「仏教とキリスト教」(三一書房)というのがあります。仏教者とキリスト者(八木先生他)との白熱する議論を凝集した書なのですが、これを折に触れて興味深く拝読しておりますうち、私自身の中に次第に形成されてきた、主体と超越との相関に生じる閉じられないシャボン玉のような呑気なイメージを、短編および長編童話にしたものがあります(このイメージは偶々ラカンなど精神分析の世界でも論じられているもののようで私自身おどろいております)。また上に述べた事柄にも少なからず関わる音楽などに関する感想も載せた拙サイトをリンクさせて戴きました。ご訪問戴ければ幸です。

昨今は場と波動理論など量子力学・宇宙物理学方面と、哲学(現象学等)とともに殊に宗教的位相からの語りとの連関もしだいに明らかになってきつつあると思われ、瞑想による物の見え方の位相・ステージをあげた省察や対話がますます必要かつ有効な時代になっているようにも思います。今後もご一層の八木先生のご活躍をお祈りいたしております!

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Prof...

  • 1980年代 東京女子大学文理学部入学
  • 同哲学科卒
  • 以後、一年間東京工業大学工学部八木誠一研究室研究生
  • 1995年~ 童話など執筆
  • 2016年- 八ヶ岳高原・清泉寮(KEEP協会)敷地内、県立自然ふれあいセンター等々にて個展開催。商行為可の施設、ギャラリーやお店では写真・アート系画像の制作販売も随時致しております。(NHKや地元新聞などの取材も受けました)

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